転職で最初にやるべき事?「自己分析」は今すぐ捨てろ。9割が知らない、成功への最短ルートはこれだ。

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 漠然と「転職したいな」と思っているが、何から手をつけていいか分からない方
  • 「転職するには、まず自己分析から」という言葉を信じ、自分探しの沼にハマっている方
  • 自分の市場価値がどれくらいなのか、客観的に知るのが怖いと感じている方
  • 転職活動で失敗したくない、遠回りしたくないと本気で考えている方
  • フワフワした精神論ではなく、具体的で現実的な「最初の一歩」を知りたい方

「転職を考えているんですが、最初にやらなければいけないことは何ですか?」

キャリアコンサルタントとして、この質問を何百回と受けてきました。そして、ほとんどの人が、まるで模範解答のようにこう答えます。「まずは自己分析をして、自分の強みややりたいことを見つけることです」と。

もし、あなたがそう思っているなら、今日の話は少しショックが強いかもしれません。ハッキリ言います。転職の第一歩として「自己分析」から始める人は、9割方、失敗するか、途中で挫折します。

なぜなら、それは「地図もコンパスも持たずに、自分の部屋でエベレスト登山の計画を立てている」のと同じくらい、無意味で危険な行為だからです。

「え、でも自己分析は大事だって…」分かります。そう教えられてきましたよね。でも、それは大きな罠です。今日は、あなたがその罠にハマって貴重な時間を無駄にする前に、転職を成功させるための、本当に、本当に最初にやるべき「たった一つのこと」を教えます。これは、あなたが思っているような、生ぬるいものではありません。しかし、これこそが成功への最短ルートだと、私は断言します。

なぜ「自己分析」から始める転職は、ほぼ失敗するのか?

そもそも、なぜ自己分析から始めると失敗するのか。理由は大きく二つあります。

一つは、それが「行動しない言い訳」になるからです。 「自分の強みがまだ分からないから…」「やりたいことが明確じゃないから…」そうやって、完璧な自分像が見つかるまで行動を起こさない。これは、真面目な人ほど陥りやすい「自分探し」という名の沼です。数週間、数ヶ月と唸って、結局出てくる答えは「私の強みはコミュニケーション能力です」とか「人と人をつなぐ仕事がしたいです」といった、誰にでも言えるフワフワした言葉だけ。そんなもの、何の武器にもなりません。

もう一つは、市場を完全に無視した「独りよがり」に陥るからです。 あなたがいくら「私のこの経験は、きっと価値があるはずだ!」と信じていても、転職市場がそれを評価しなければ、その価値はゼロです。あなたが「年収800万円欲しい!」と願っても、市場があなたに「500万円」という値札しかつけなければ、それが現実。自己分析とは、この市場という冷徹な現実から目をそむけ、自分の内なる世界に閉じこもる行為になりがちです。

転職とは、キレイゴト抜きの「市場との対話」です。あなたが何者で、何ができて、市場でいくらの価値があるのか。この現実を知らずして、どんな戦略が立てられるというのでしょうか。

転職の成否を分ける、たった一つの最初のステップ

では、本当に最初にやるべきことは何か。それは、

「転職活動の健康診断を受けること」です。

健康診断?どういうことか。具体的に言えば、「複数の転職エージェントに登録し、面談を受け、今のあなたがどんな評価をされるのか、その現実を強制的に知ること」に他なりません。

これは、履歴書や職務経歴書を完璧に仕上げてからやるのではありません。むしろ、その前にやるのです。フワッとした転職意欲のままで構いません。今のあなたが、丸腰で労働市場という戦場に放り出されたら、どうなるのか。それを知るのです。

この「健康診断」を受けることで、自己分析ごっこでは決して手に入らない、3つの重要な情報が手に入ります。

  1. あなたの客観的な「立ち位置」
  2. あなたのリアルな「選択肢の数」
  3. あなたの生々しい「値段(年収)」

これこそが、あなたの「現在地」です。この現在地を正確に把握することなくして、目的地(理想のキャリア)へのルートを描くことなど、絶対に不可能なのです。

「転職の健康診断」具体的な受診マニュアル

「分かった。じゃあ具体的にどうすればいいんだ?」という声が聞こえてきそうですね。大丈夫です。誰でも今日から実践できる、具体的なマニュアルをお渡しします。

ステップ1:タイプの違うエージェントに最低3社登録する

まず、転職エージェントに登録します。ポイントは、1社だけでなく、タイプの違う会社に最低3社は登録することです。

  • 大手総合型エージェント(リクルートエージェント、dodaなど): 求人数が圧倒的に多く、市場全体の動向を掴むのに最適です。
  • 業界特化型エージェント: あなたがいる業界(IT、製造、医療など)に特化したエージェント。より専門的なアドバイスが期待できます。
  • ハイクラス特化型エージェント(ビズリーチなど): 今の自分の市場価値で、どれくらい上のレベルを狙えるのか、力試しのために登録します。

なぜ複数登録するのか?それは、エージェントによって保有している求人も違えば、担当者の質や相性も全く違うからです。1社の言うことを鵜呑みにするのは危険です。複数の視点から、自分の価値を立体的に把握しましょう。

ステップ2:「良い求人があれば」というお客様気分を捨てる

次に、エージェントとの面談に臨みます。ここでのマインドセットが、決定的に重要です。

「何か良い求人があったら紹介してください」なんていう、受け身の「お客様」になってはいけません。あなたは、自分の価値を知るために、彼らを「利用」するのです。

面談では、こう切り出してください。 「今日は、今の自分の市場価値を客観的に知りたくて来ました。私のこの経歴とスキルだと、率直に言って、どのような業界・職種の、年収いくらくらいの求人が紹介可能でしょうか?選択肢の幅と質を教えてください」と。

この質問をぶつけることで、エージェントもあなたの意図を理解し、より現実的なフィードバックをくれるはずです。

ステップ3:残酷な「診断結果」を冷静に受け止める

さて、数日後、あなたの元にエージェントから求人が届き始めます。この「診断結果」を、感情的にならず、冷静に受け止めてください。

厚生労働省の令和4年の調査では、転職で賃金が「増加した」人は34.9%、「減少した」人は35.2%、「変わらなかった」人は28.8%です。つまり、転職すれば誰もが給料が上がるわけではない。むしろ下がる可能性も十分にあるのです。

届いた求人が、あなたの希望とは程遠い、低賃金で興味の持てないものばかりだったとしても、落ち込む必要はありません。それが、今のあなたの「市場価値」というスタートラインなのです。この現実を直視できただけでも、大きな一歩です。

「診断結果」をもとに、初めて戦略を立てる

この「健康診断」の結果が出て、初めてあなたは、本当の意味での「自己分析」と「戦略立案」のフェーズに入ることができます。

診断結果が「良好」だった人へ

もし、あなたの元に、希望する年収や職種の求人が多数届いたなら、おめでとうございます。あなたの市場価値は、あなたが思っている以上に高い。自信を持って、本格的な転職活動に進みましょう。

ここから初めて、「どの会社の、どの部分に自分の強みを活かせるか?」という、的を絞った企業研究や自己分析が意味を持ってくるのです。

診断結果が「要改善」だった人へ

もし、届いた求人がロクなものではなかったなら。あなたのやるべきことは、「転職活動を、一旦ストップすること」です。

そして、エージェントにこう聞くのです。「この診断結果を踏まえて、私が市場価値を上げるためには、今後どのようなスキルや経験を積めば良いでしょうか?」と。

彼らはプロです。具体的なアドバイスをくれるはずです。「今の業務に加えて、〇〇の資格を取ると選択肢が広がりますよ」とか、「社内で〇〇のプロジェクト経験を積めば、次はこういう求人を狙えます」といったように。

これが、あなたが本当にやるべきこと。今の会社にいる間に、自分の市場価値を高めるための「戦略的な自己投資」です。このステップを踏まずに転職活動を続けても、結局は不本意な会社にしか入れず、同じ失敗を繰り返すだけです。

まず現実を知れ。話はそれからだ

転職とは、自分探しの旅ではありません。市場という相手がいる、冷徹なゲームです。

そのゲームに勝つためには、まず自分の手札がどれだけ強いのか、弱いのかを知らなければ話にならない。

悩んでいる暇があったら、今すぐ転職エージェントに登録してください。自分の部屋でうんうん唸っている1時間より、エージェントと話す30分の方が、100倍有益です。

残酷な現実を突きつけられるかもしれません。でも、その痛みからしか、本当の成長は始まりません。まず、己を知る。すべての戦略は、そこから始まるのです。

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