
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- 高校生、または高卒で、外資系コンサルティングファームへの就職に憧れている方
- 「学歴は関係ない、実力でのし上がってやる」と本気で思っている野心家の方
- 外資コンサルの華やかなイメージだけでなく、リアルな厳しさを知りたい方
- 夢物語ではない、高卒から外資コンサルを目指すための具体的な戦略を探している方
- 自分の今の市場価値と、目指す場所とのギャップを正確に把握したい方
「高卒で外資コンサルに行きたいんですけど、どう思いますか?」
時々、こういう熱意に満ちた相談を受けることがあります。そのギラギラした目、いいですね。大好きです。デカい夢を掲げるその心意気、まずは買ってあげましょう。
…と、優しい言葉をかけるのはここまでです。
単刀直入に言います。その考え、ハッキリ言って、舐めてますか?もし「何となくカッコいいから」「年収高そうだから」くらいの気持ちで言っているなら、時間の無駄だから今すぐこの記事を閉じて、別の夢を探してください。本気で言っているなら、あなたは今、丸腰でエベレストに登ろうとしているようなものです。
でも、もし。もしあなたが、これから話す残酷な現実を知った上で、それでも「やってやる」と心の炎が燃え盛るような、そういう本物の覚悟がある人間なら。今日はそんなあなたにだけ、可能性が0.1%でもあるかもしれない、茨の道の歩き方を特別に教えてあげます。これは気休めのサクセスストーリーではありません。血反吐を吐きながら進むための、現実的な地図です。
まず、己の現在地を知れ。なぜ「無備」と言われるのか
なぜ、あなたの挑戦が無謀だと言われるのか。それは、あなたが戦おうとしているフィールドが、あなたの想像を絶するほど「学歴」という名のルールに支配されているからです。
「学歴フィルターなんて都市伝説でしょ?」なんて思っていたら、おめでたいにも程があります。特に、外資系の戦略コンサルティングファーム(MBBと呼ばれるマッキンゼー、ボスコン、ベインなどが筆頭)の新卒採用において、学歴は「絶対的なスタートライン」です。
なぜか。理由は3つあります。
一つは、「地頭の良さ」の効率的なスクリーニング。コンサルは、顧客が何億円も払って解決を依頼してくる超難問を、短期間で解かなければいけない仕事です。そのためには、圧倒的な論理的思考力、情報処理能力、学習能力、いわゆる「地頭」が必須。そして残念ながら、日本の入試制度を勝ち抜いてきた上位大学の学生は、この「地頭」のレベルが高いという相関関係が、厳然として存在するのです。企業側からすれば、数万通の応募の中から効率的に候補者を絞り込む上で、これほど分かりやすい指標はありません。
二つ目は、「顧客からの信頼」。考えてみてください。あなたが数億円のプロジェクトを発注する側の社長だとして、担当コンサルタントが「〇〇大学出身の者です」と挨拶に来るのと、「高卒です」と挨拶に来るのと、どちらに「第一印象として」安心感を抱きますか?これは差別でも何でもなく、ビジネスにおける「信頼の担保」というシビアな現実です。
三つ目は、「思考の体力」と「共通言語」。難関大学の学生は、受験勉強やレベルの高い講義、優秀な仲間との議論を通じて、複雑な物事を長時間考え続ける「思考の体力」を鍛えられています。また、アカデミックなフレームワークや専門用語といった「共通言語」も持っている。これらはコンサル業務の土台であり、高卒のあなたには、現時点で決定的に欠けているものです。
実際に、主要な外資コンサルファームの出身大学を見てみれば一目瞭然です。東京大学、京都大学、早稲田、慶應。このあたりがボリュームゾーンで、MARCHや関関同立ですら、かなり厳しい戦いを強いられるのが現実。これが、あなたの現在地です。
君が乗り越えるべき「3つの巨大な壁」
この絶望的なスタートラインから、あなたが乗り越えなければならない壁は、大きく分けて3つあります。一つでも欠けたら、スタートラインにすら立てません。
壁その1:鉄壁の「学歴フィルター」という門
まず、新卒採用のルートは、現時点のあなたには閉ざされていると考えた方がいいでしょう。Webエントリーの段階で、最終学歴を入力した瞬間に、あなたの応募書類は誰の目にも触れることなくゴミ箱行きになる可能性が極めて高い。これが現実です。
「いや、学歴不問って書いてあるじゃないか!」と食い下がるかもしれませんね。それは建前です。あるいは、コンサルファームの中でも、IT系や業務改善系の特定のポジションに限った話であることがほとんど。あなたが憧れるような、企業の経営戦略を担う花形の「戦略コンサルタント」のポジションでは、この壁は鉄壁です。
壁その2:地頭を丸裸にする「ケース面接」という拷問
仮に、奇跡的に書類選考を突破できたとしましょう。次に待っているのが、コンサル選考の代名詞「ケース面接」です。
「日本のコンビニの売上を2倍にするには?」「この業界の10年後の市場規模を予測せよ」といったお題をその場で出され、数十分で自分なりの答えを論理的に導き出し、面接官にプレゼンする。これは知識を問うテストではありません。思考のプロセス、論理構成能力、コミュニケーション能力といった、あなたの「地頭」そのものを丸裸にする、一種の拷問のようなものです。
東大生や慶應生は、1年生の頃から対策講座に通い、仲間内で何十回、何百回と練習を重ねてこの日に臨みます。思考のフレームワークが血肉となり、どんなお題にも動じない「思考体力」を身につけている。あなたはこの異次元の猛者たちと、同じ土俵で戦わなくてはならないのです。
壁その3:異次元の実績を求められる「中途採用」という崖
「新卒がダメなら、社会人で実績を積んで中途で入ればいい」と考えますか?その発想は正しい。しかし、その「実績」のレベルを、あなたは正しく理解しているでしょうか。
外資コンサルの中途採用で求められるのは、「3年間、営業を頑張りました」とか「店長として店舗を運営していました」というレベルの実績ではありません。
求められるのは、「特定の業界において、誰が見ても分かる圧倒的な成果」です。例えば、「〇〇というSaaSプロダクトをゼロから立ち上げ、3年でARR(年間経常収益)10億円にした」「〇〇業界のM&Aで、ディールを5件主導した」「公認会計士として、大手企業の監査を5年間担当した」…このレベルです。
つまり、他の会社の第一線で活躍する、超優秀な大卒・大学院卒のビジネスパーソンたちと、同じ、いやそれ以上の実績を叩き出して初めて、中途採用のスタートラインに立てるのです。
茨の道を踏破する「3つのルート」
ここまで読んで、絶望しましたか?心が折れましたか?もしそうなら、才能がなかったのです。潔く諦めましょう。
もし、それでも「ふざけるな、やってやる」と思えたなら。ここからが本題です。可能性は限りなく低いですが、ゼロではない。高卒から外資コンサルという頂を目指すための、現実的な3つのルートを提示します。
ルートA:学歴ロンダリング戦略(最も現実的な王道)
身も蓋もないことを言いますが、これが一番確実で、王道です。つまり、「大学に入り直す」こと。
高校卒業程度認定試験(高認)を取得し、死に物狂いで勉強して、最低でも早慶、できれば東大・京大クラスの大学に入学するのです。これができれば、あなたは他の学生と同じ「新卒採用」というレールに乗ることができます。学歴フィルターを突破し、ケース面接の対策をする時間も、優秀な仲間という人脈も手に入る。
「遠回りじゃないか」と思うかもしれません。いいえ、これが最短ルートです。なぜなら、あなたがコンサルで働く上で必要不可欠な「教養」「論理的思考の基礎」「人脈」を、最も効率的に得られる場所が大学だからです。このルートを選ぶなら、腹を括って2〜3年、人生を受験勉強に捧げる覚悟を決めてください。
ルートB:専門スキル特化・一点突破戦略(修羅の道)
大学に行き直す時間も金もない。あるいは、どうしても実社会で勝負したい。そんなあなたが選ぶべきは、この修羅の道です。特定の専門分野で、誰もがひれ伏すほどの「鬼」になるのです。
狙うべきは、コンサルファームが今まさに欲しがっている領域。例えば、IT・デジタル領域(AI、データサイエンス、サイバーセキュリティなど)、あるいは会計・財務領域です。
具体的には、ベンチャー企業に飛び込んで、事業責任者としてプロダクトをグロースさせる。あるいは、難関資格(公認会計士、弁護士、高度情報処理技術者など)を取得し、専門家として圧倒的な実務経験を積む。重要なのは、「高卒」というハンデを霞ませるほどの、輝かしい実績と専門性です。この道は、最低でも5年以上の歳月と、プライベートを全て犠牲にするほどの努力を要します。
ルートC:海外逃亡・逆輸入戦略(荒業)
日本の学歴社会がダメなら、海外に出てしまえ、という荒業です。アメリカのコミュニティカレッジ(2年制大学)に入学し、そこで優秀な成績を収めて、UCLAやUCバークレーといったトップクラスの4年制大学に編入する。そして、卒業後に「ボストンキャリアフォーラム」などで、現地の日本人留学生と同じ土俵で選考を受けるのです。
このルートのメリットは、日本の学歴フィルターを回避できること。海外大学での経験は、語学力と多様性の証明にもなります。しかし、当然ながら、ネイティブと渡り合えるレベルの英語力と、海外で一人で生活し、勉強し抜く強靭な精神力が必須です。費用も莫大にかかります。まさにハイリスク・ハイリターンな戦略と言えるでしょう。
最後に問う。君はなぜ、コンサルになりたいのか?
さて、3つのルートを示しました。どれも生半可な覚悟で歩める道ではないことは、理解できたはずです。
最後に、あなた自身に問いたい。なぜ、そこまでしてコンサルタントになりたいのですか?
もし、その答えが「年収が高いから」「ステータスが欲しいから」「モテそうだから」といったものなら、やめておいた方がいい。そんな動機では、この過酷な道のりの途中で、間違いなく心が折れます。
コンサルティングという仕事の本質は、クライアントが抱える困難な課題に対して、知力と体力の限りを尽くして向き合い、解決に導くことです。それは、驚くほど地味で、泥臭く、知的な重労働の連続です。
その仕事そのものに、あなたは情熱を燃やせますか?クライアントの成功を、自分の成功のように喜べますか?
もう一度、自分の心に深く問いかけてみてください。もしかしたら、あなたが本当にやりたいことは、コンサルではなく、自分で事業を興すことかもしれない。あるいは、特定の技術を極める職人になることかもしれない。
外資コンサルは、数あるキャリアパスの一つに過ぎません。厳しい現実を直視した上で、それでもなお、あなたの心のコンパスが「コンサル」を指すのであれば。
その覚悟、本物です。茨の道を、胸を張って進んでください。
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