【“逃げ”か“戦略”か】転職2年目で「また辞めたい」…アリかナシか、後悔しないための最終判断

【この記事はこんな方に向けて書いています】

転職して1年、2年が経ち、「こんなはずじゃなかった…」というモヤモヤを感じ始めている方
再び転職を考え始めたものの、「短期離職」というレッテルを貼られ、キャリアに傷がつくことを恐れている方
今の会社を辞めたい、という気持ちが、一時的な「逃げ」なのか、キャリアアップのための「戦略」なのか、自分でも分からなくなってしまっている方
次の転職こそは絶対に失敗したくない、と心から願い、そのための具体的な方法論を知りたい方
「石の上にも三年」という古い価値観と、自分の正直な気持ちとの間で、板挟みになっている、すべてのビジネスパーソン

大きな期待を胸に、転職という決断をした、今の会社。しかし、1年、2年と経つうちに、入社前のきらめきは少しずつ色褪せ、「あれ、何か違うかもしれない…」という、正体不明のモヤモヤが、あなたの心を支配し始めてはいないでしょうか。

そして、そのモヤモヤが「また、転職したい」という具体的な願望に変わった時、もう一人の自分が出てきて、こう囁くのです。

「まだ2年しか経っていないのに、また辞めるのか？」「周りから『辛抱が足りない』『計画性のないヤツだ』と思われるんじゃないか？」「ただの“逃げ”じゃないのか？」

その罪悪感と焦りが、あなたをがんじがらめにし、次の一歩を踏み出すことを、躊躇させている。痛いほど、その気持ちは分かります。

総務省の労働力調査によれば、年間300万人以上が転職する、まさに「大転職時代」。しかしその一方で、採用の現場では、短期離職に対するネガティブなイメージが、未だに根強く存在しているのも事実です。

この記事では、そんなあなたの迷いを完全に断ち切ります。「転職2年目での再転職は、アリか、ナシか」。その答えは、あなた自身の覚悟と戦略次第で、どちらにもなり得るのです。

この記事を読み終える頃には、あなたの「辞めたい」が、「ただの逃げ」で終わるのか、それとも「輝かしいキャリアへの戦略的転身」になるのか、その分水嶺がどこにあるのかを、明確に理解しているはずです。

その”辞めたい”は本物か？「不満」と「成長痛」を切り分ける自己診断

まず、あなたがやるべきことは、転職サイトに登録することではありません。あなたの心の中にある「辞めたい」という感情を、冷静に解剖し、その正体を突き止めることです。

その感情は、大きく2種類に分類できます。

1. 環境要因による「不満」 これは、外部の環境に対するネガティブな感情です。

人間関係が悪い（上司と合わない、同僚と馴染めない）
給与が低い、評価制度に納得できない
残業が多い、ワークライフバランスが取れない
会社のルールが理不尽だ

これらの「不満」が原因の場合、転職は「逃げ」になる可能性をはらんでいます。なぜなら、これらの問題は、どの会社に行っても、形を変えて存在する可能性があるからです。「環境さえ変われば、すべて解決するはず」というのは、あまりにも危険な幻想です。

2. キャリア要因による「成長痛」 これは、あなた自身のキャリアの方向性と、会社の現状との間に生じる、健全な「痛み」です。

入社前に聞いていた役割・仕事内容と、実際の業務が大きく異なる（明らかなミスマッチ）
今の仕事がルーティン化し、これ以上、市場価値を高めるスキルが身につかないと感じる
会社の事業の方向性に、将来性を感じられない
もっと挑戦したい、裁量権を持って仕事をしたい、というポジティブな欲求がある

もし、あなたの「辞めたい」が、こちらの「成長痛」に根差しているのであれば、それは「戦略的な転職」に繋がりうる、極めてポジティブなサインです。

自分自身に、こう問いかけてみてください。「もし、今の会社の上司や同僚が全員最高のいい人で、給料も1.5倍になり、残業もゼロになったとしたら。それでも、自分はこの会社を辞めたいと思うだろうか？」

この問いに「Yes」と即答できるなら、あなたの悩みは、根深い「成長痛」である可能性が高いでしょう。

採用担当者は神じゃない。”短期離職”を説明責任で打ち破るストーリー戦略

あなたの転職理由が「成長痛」だと確信できたら、次のステップは、それを採用担当者に納得させるための「戦略」を練ることです。

採用担当者が「在籍2年」という文字を見た時、彼らの頭の中には、必ずいくつかの懸念が浮かびます。

「うちの会社に入っても、またすぐに辞めてしまうのではないか？（定着性への懸念）」
「困難なことから逃げ出す、ストレス耐性の低い人材ではないか？（忍耐力への懸念）」
「キャリアプランに、一貫性がないのではないか？（計画性への懸念）」

あなたの仕事は、この3つの懸念を、論理的かつ情熱的な「一貫したキャリアストーリー」によって、完全に粉砕することです。面接の場で、単なる不満や愚痴を語ってはいけません。あなたの2年間が、次のステップに進むために、いかに「必要不可欠」で「合理的」な期間であったかを、証明するのです。

凡庸なストーリー: 「現職は給料が安く、人間関係も良くなかったので、転職したいです」これでは、ただの不満の表明であり、「うちでも同じことがあったら辞めるんだろうな」と思われて終わりです。

戦略的なストーリー: 「前職では〇〇というスキルを身につけ、そのスキルを活かして、より事業の成長に貢献したいと考え、現職に転職しました。現職では、実際に△△というプロジェクトを任され、2年間で売上を150%にするという成果を出すことができ、大変感謝しています。しかし、この2年間で成果を出す中で、私自身のキャリアとして、今後はより専門性の高い『□□』という領域に挑戦したいという想いが、明確に、そして強くなりました。残念ながら、現職の事業構造上、『□□』に関わるチャンスは、今後数年間はないことが分かっています。そこで、2年間で培った△△の経験を土台に、本格的に『□□』のプロフェッショナルを目指せる環境を求め、今回の転職を決意いたしました」

どうでしょうか。このストーリーには、現職への感謝と貢献、そして、それでもなお転職せざるを得ない、前向きで、ロジカルな理由が明確に示されています。これならば、採用担当者も「なるほど、その2年間は、次の目標を見つけるために必要な期間だったのだな」と納得せざるを得ないでしょう。

在籍期間の短さは、変えられない事実です。しかし、その事実の「意味」は、あなたのストーリーテリング能力次第で、180度変えることができるのです。

衝動に身を任せるな。次の失敗を防ぐための”3つの宿題”

「よし、辞める理由は固まった！すぐに転職活動を始めよう！」その気持ち、少しだけ抑えてください。衝動的に行動して、また同じ失敗を繰り返すことほど、愚かなことはありません。次の転職を「最後の転職」にするくらいの覚悟で、周到な準備を行うべきです。

宿題1: 現職で、最後の”悪あがき”をしてみる 本当に、今の会社では、あなたの「成長痛」は解消できないのでしょうか？「辞める」というカードを切る前に、やれることはすべてやり尽くしたか、自問してください。

上司に、自分のキャリアプランと、現状の業務への課題意識を、率直に相談したか？
人事部に、部署異動の可能性について、問い合わせてみたか？
社内で、新しいプロジェクトが立ち上がる際に、自ら手を挙げてみたか？

これらの「悪あがき」は、もしうまくいけば、転職せずに問題が解決するかもしれません。そして、たとえうまくいかなくても、「現職において、課題解決のためにこれだけの主体的なアクションを取りましたが、構造的な問題で叶いませんでした」という事実は、次の面接で、あなたの本気度を証明する、極めて強力なエピソードになります。

宿題2: 「転職の軸」を、血が出るまで言語化する 次の会社選びで、絶対に失敗しないために、「自分は何を求め、何を求めないのか」という「転職の軸」を、徹底的に言語化します。