【騙されるな】幼稚園の先生の給料は安い…は、もう古い?年収1000万も夢じゃない世界の(不都合な)真実

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 「幼稚園の先生って、給料安いんでしょ?」と信じて疑わない方
  • これから幼稚園の先生を目指そうか迷っているけど、お給料が心配な学生さん
  • 現役の幼稚園教諭・保育士で、自分の給料明細を見てため息をついている方
  • 「やりがい」という言葉を盾に、給料の話から逃げられがちな方
  • 世の中の「当たり前」を、少しだけ斜めから見てみたい、ひねくれ者のあなた

「幼稚園の先生って、子どもが好きじゃないとできない、尊い仕事ですよね。でも、お給料はちょっと…。大変な割に合わないって聞きます」。ええ、わかります。100人いれば100人がそう答えるでしょう。純真無垢な子どもたちの笑顔に囲まれて、キラキラしているように見えるその裏側で、サービス残業と持ち帰り仕事に追われ、給料明細を見ては静かに涙する…それが世間様の描く幼稚園教諭のテンプレ像です。

でも、もし、その常識が、意図的に作られた幻想だとしたら?もし、あなたの知らないところで、笑いが止まらないほど稼いでいる幼稚園の先生が存在するとしたら?

今日は、そんな「不都合な真実」について、少しだけお話ししようと思います。この記事は、あなたの「当たり前」を木っ端微塵に打ち砕くかもしれません。読み終えた後、あなたは世の中を信じられなくなるか、あるいは、一筋の光明を見出すことになるか。さあ、禁断の世界へようこそ。

まずは現実を直視しよう。平均年収という「不都合な数字」

さて、まずはウォーミングアップと行きましょうか。夢のない話、つまり「数字」の話です。厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査(令和5年版)」によれば、幼稚園教諭の平均年収は、約399万円。月収にすると、まあ、だいたい30万円くらいで、ボーナスが年間で30〜40万円程度といったところでしょうか。

「ほら、やっぱり安いじゃないか!」 そう思ったあなた、正解です。そして、不正解でもあります。

この「平均」という言葉は、実にタチが悪い。この数字には、新卒で手取り16万円のピカピカの新人先生も、園長としてバリバリ経営をこなし、高級車を乗り回す勤続30年のベテラン先生も、ぜーんぶごちゃ混ぜにした結果なのです。平均値というのは、時として真実を巧みに隠します。100人の貧乏人と1人の大富豪を混ぜ合わせれば、全員が「そこそこ裕福」に見えてしまう。それと同じトリックです。

だから、「幼稚園の先生の給料は平均399万円」という情報だけを見て、「ああ、やっぱり安いんだな」と納得するのは、テレビのワイドショーを鵜呑みにするのと同じくらい、思考停止だと言えるでしょう。本当のカラクリは、この「平均」というベールの向こう側に隠されています。

「公務員」という名の最強カード。安定と年功序列の甘い蜜

最初のカラクリは、多くの人が見落としている、あるいは意図的に無視している事実です。それは、「公立」と「私立」という、絶対に越えられない壁の存在です。

あなたがもし、公立幼稚園の先生になることができれば、その身分は「地方公務員」となります。そう、あの、景気に左右されず、クビになる心配もほとんどなく、毎年コツコツと給料が上がっていく、古き良き日本の働き方の象徴です。

彼らの給与は、各自治体が定める「給料表」に則って、きっちり支払われます。例えば、とある大都市の給料表を見てみると、22歳の新卒で年収は約350万円スタートだったとしても、真面目に勤め続ければ、30代半ばで500万円を超え、40代で管理職にでもなれば600万、700万円の世界が普通に見えてきます。もちろん、退職金だって、民間企業が青ざめるような額が、きっちり満額支給される。

どうでしょう。「幼稚園の先生は給料が安い」という常識が、少し揺らいできませんでしたか?「いやいや、公務員なら当たり前でしょ」ですって?その通り。でも、世間はなぜか、「幼稚園の先生」という職業を語るとき、この「公務員」という側面をスッポリと忘れ去ってしまうのです。不思議ですね。

まあ、こんな甘い蜜を吸える公立幼稚園は、少子化の波を受けて、全国的にどんどん数を減らしているんですけどね。まるで、選ばれし者しか乗れない、沈みゆく豪華客船のようです。

年収1000万円プレイヤーも実在する「上級国民」幼稚園の世界

さて、公務員の話は、まだ序の口です。本当の「格差」は、私立幼稚園の世界にこそ、渦巻いています。

あなたは、月々の保育料が10万、15万円を超えるような幼稚園が存在することをご存知ですか?都心の一等地や、高級住宅街にひっそりと佇む、選ばれし子どもたちだけが通うことを許された、いわば「上級国民」のための幼稚園です。

そこでは、お遊戯や泥んこ遊びの代わりに、ネイティブの外国人講師による英語イマージョン教育、プロの音楽家によるバイオリンレッスン、有名画家の指導による絵画教室など、まるで大学の専門課程のようなカリキュラムが組まれています。当然、そこで教える先生にも、極めて高い専門性が求められます。

例えば、「英語力はネイティブレベルで、かつ幼児教育の修士号を持っていること」「音楽大学を首席で卒業し、海外での演奏経験があること」。そんな、そこらへんの凡人では逆立ちしても敵わないようなスキルを持つ「スーパーティーチャー」たちです。

彼らの給与水準が、一般的な幼稚園と同じだと思いますか?とんでもない。優秀な人材を確保するためなら、園側も破格の待遇を提示します。年収800万円は当たり前、園長クラスや、特殊なスキルを持つスター講師ともなれば、年収1000万円を超えることも、決して夢物語ではありません。

彼らは、私たちと同じ「幼稚園の先生」という肩書を持ちながら、まったく別の世界を生きているのです。もちろん、そんなシンデレラチケットを手に入れられるのは、ほんの一握り。圧倒的多数の私立幼稚園の先生は、今日も安い給料で身を粉にして働いているという現実から、目をそらしてはいけません。でも、どうです?「幼稚園の先生は稼げない」と一括りにするのは、あまりにも乱暴だと思いませんか?

政府の「処遇改善」という名の、壮大なるリップサービスを信じますか?

「公立は減ってるし、高級私立なんて夢のまた夢。じゃあ、結局、大多数の先生は報われないじゃないか!」 そんな声が聞こえてきそうです。ご安心ください。我らが日本政府が、そんな状況を黙って見ているはずがありません。

「異次元の少子化対策だ!」「保育士・幼稚園教諭の給与を3%(月額9000円相当)引き上げる!」 テレビや新聞では、景気の良いニュースが、高らかに報じられています。素晴らしい。これで、現場の先生たちの生活も、少しは楽になるに違いありません。給料は、国のお墨付きで「高く」なっているのですから。

…と、本気で信じているのなら、あなたは相当におめでたい人です。

この「処遇改善加算」という仕組み、実はかなりのクセモノ。国から園にお金が下りてくるのは事実ですが、そのお金を「誰に」「どう分配するか」は、園の経営者の裁量に、かなりの部分が委ねられています。つまり、全職員に均等にプラスされるとは限らないのです。

園長先生が「よし、このお金は園の備品購入に充てよう」と言えば、先生たちの給料は1円も上がりません。「頑張っている一部の職員にだけ手厚く配分しよう」となれば、職員間に新たな格差が生まれます。政府の美談の裏で、現場では、そんな生々しい現実が繰り広げられているのです。

もちろん、真面目に職員へ還元している園もたくさんあります。しかし、「国が給料を上げてくれる」という言葉だけを鵜呑みにして、「幼稚園の先生の給料、高くなったんでしょ?」なんて口にしたら、現場の先生から、笑顔で塩をまかれること請け合いです。

結論:それでも、あなたの「時給」はコンビニ以下かもしれない

公務員になれば安定、一部の私立は超高給、そして政府の処遇改善。ほら、やっぱり幼稚園の先生の給料は、世間で言われるほど「安く」はないのかもしれませんね。

では、最後に、魔法の計算をしてみましょうか。その名も、「時給換算」です。

あなたの月給が、額面で25万円だとします。なかなかの金額ですね。しかし、あなたは毎日、定時で帰れていますか?サービス残業は、月に何時間ありますか?家に持ち帰って、夜なべして作る指導案や、壁面装飾。土日を潰して準備する運動会やお遊戯会。保護者からの、時間外の電話やLINEでの相談。

それら、給料明細には決して載ってこない「見えない労働時間」を、全て足し合わせてみてください。そして、あなたの月給を、その総労働時間で割ってみるのです。

…さあ、いくらになりましたか?

もしかしたら、その数字は、近所のコンビニの深夜バイトの時給よりも、低いかもしれません。

「幼稚園の先生の給料が高いか、安いか」。その議論は、どこまでいっても水掛け論です。公務員になれば、生涯年収では平均的なサラリーマンを上回るかもしれない。特殊なスキルがあれば、誰もが羨む高給取りになれる道もある。

しかし、この仕事の価値は、そんな給料明細の数字だけで測れるものでは、断じてありません。子どもの成長を間近で見られる喜び、卒園式で「先生、ありがとう」と泣きながら抱きついてくる子どもたち。それは、お金には換えがたい、プライスレスな報酬です。

ただ、一つだけ、絶対に忘れてはいけないこと。その「やりがい」という美しい言葉を、不当な低賃金や、過酷な労働環境を正当化するための言い訳にしては、絶対にならない。ということです。

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