
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- これからSES企業への就職・転職を考えている、IT未経験者や若手エンジニアの方
- 今の客先常駐の現場は、もしかして「ハズレ」なんじゃないかと不安を抱えている方
- 「SESは闇が深い」と聞くけど、そのリアルな実態がよくわからない方
- エンジニアとしての自分のキャリアを大切にし、絶対に使い捨てにされたくないと考えている方
SES(システムエンジニアリングサービス)。
多くの未経験者にとって、IT業界への扉を開いてくれる、最初のステップとなることが多い働き方だ。
しかし、その扉の先には、天国と地獄が広がっている。
あなたの成長を心から願い、キャリアを共に考えてくれる優良な現場(天国)もあれば、あなたを単なる「労働力」というコマとしか見なさず、スキルも経験も搾り取って、キャリアを喰い潰す「ブラック現場」(地獄)も、残念ながら数多く存在する。
この記事は、あなたが地獄の扉を開いてしまう前に、あるいは、今いる地獄から一刻も早く抜け出すために。
ヤバい現場が放つ、独特の「腐臭」とも言える5つの危険信号を、元“中の人”の視点から、徹底的に解説する。
サイン①:面談で「具体的な業務内容」を語れない
客先との面談。これは、あなたの未来が決まる、最も重要な関門だ。
ここで、必ずこの質問をぶつけてみてほしい。
「私がこのプロジェクトに参画した場合、具体的にどのような業務を担当し、どんな技術を使って、どのような役割を期待されていますか?」
この質問に対して、自社の営業担当者が、
「えーっと、それは現場に入ってから、状況に応じて…」 「Web系の開発で、幅広く色々とお願いすることになるかと…」
などと、歯切れ悪く言葉を濁し始めたら、それは超一級の危険信号だ。
これは、営業担当者が、案件の中身を全く理解していない、何よりの証拠。
彼らは、君のスキルやキャリアプランなど一切考慮せず、ただスキルシートのキーワードだけを見て、「この案件なら、たぶんハマるだろう」という、ギャンブル感覚で君を「商品」として売り込もうとしているだけだ。
そんな現場に放り込まれた君の末路は、火を見るより明らかだろう。
サイン②:「チーム体制」が自社エンジニア1人
次に確認すべきは、プロジェクトの体制だ。
「このプロジェクトには、私と同じ会社のエンジニアの方は、何名いらっしゃいますか?」
この質問への答えが「君一人だけだよ」だった場合、その案件は、よほど強い意志とスキルがない限り、避けるべきだ。
いわゆる「一人客先」と呼ばれるこの環境は、君を孤立させ、成長を著しく妨げる。
困った時に相談できる先輩も、愚痴を言い合える同僚もいない。 客先のプロパー社員との間に、見えない壁を感じながら、孤独な戦いを強いられる。 そして何より、誰も君のスキルアップやキャリアのことなど、気にかけてはくれない。
特に、経験の浅い若手エンジニアにとって、この環境は放置プレイ以外の何物でもない。
気がつけば、誰でもできるテストや運用保守の作業ばかりを何年もやらされ、市場価値のない、ただ歳だけとったエンジニアになってしまう危険性が極めて高い。
サイン③:異常に短い「面談時間」と「契約期間」
面談の「時間」と、その後の「契約期間」にも、ブラック現場のサインは隠されている。
通常、まともなプロジェクトであれば、あなたのスキルや人柄をしっかりと見極めるために、面談には1時間程度の時間が割かれる。
しかし、これがわずか15分や30分で、「はい、OKです!」と即決されるような場合は、要注意だ。
それは、あなたという人間ではなく、単なる「頭数」としてしか見られていない可能性が高い。
誰でもできる単純作業や、急な欠員が出たプロジェクトの「穴埋め要員」として、とにかく早く人が欲しかっただけなのだ。
同様に、契約期間が「1ヶ月更新」や「3ヶ月更新」といった、極端に短いスパンである場合も危険信号。
これは、いつでも切り捨てられる、都合のいい使い捨て要員として扱われている証拠だ。
そんな現場で、腰を据えたスキルアップなど望めるはずがない。
サイン④:指揮命令系統が“グレー”すぎる
これは少し専門的な話になるが、極めて重要なポイントだ。
SESは、法律上「準委任契約」という形態をとる。これは、ざっくり言うと「特定の業務を遂行すること」を約束する契約であり、業務に関する指揮命令権は、客先ではなく、君が所属する「自社の管理者」にある。
しかし、ブラック現場では、このルールが完全に無視される。
客先のプロパー社員が、君に対して、まるで自分の部下のように、直接的な業務指示を出したり、残業を命じたりする。
自社の営業やリーダーは、現場に全く顔を出さず、全ての責任を客先に丸投げ。
この状態は、限りなく「偽装請負」という違法行為に近い、極めて危険な状態だ。
トラブルが発生した時に、誰も君を守ってはくれない。
面談の際に、「業務上の指示や管理は、どなたから受けることになりますか?」と、指揮命令系統を明確に確認しておくべきだ。
サイン⑤:営業担当の目が「死んでいる」
最後は、少し人間的な視点だが、意外と本質を突いている。
それは、君を担当する自社の営業担当者の「目」だ。
彼の目は、君の5年後、10年後のキャリアを見据えて、輝いているだろうか。
それとも、ただの「空き案件」と「空きエンジニア」をマッチングさせるだけの、単調な作業をこなす、死んだ魚のような目をしているだろうか。
君の希望やスキルセットを無視し、「給料もいいし、とりあえずここで頑張ってみない?」などと、言葉巧みに、全く畑違いの案件に君を押し込もうとしてくる。
そんな営業担当者は、君のことを、血の通った人間ではなく、自社の売上を立てるための「商品」としか見ていない。
その会社に、君の未来を預ける価値はない。
今すぐ、逃げろ。
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