【実録】コンサルの残業は本当にヤバいのか?元中の人が語る「睡眠3時間」の真相と時代の変化

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • キラキラしたイメージに憧れ、コンサル業界を目指している就活生・転職希望者の方
  • 「コンサルは激務」と聞くけれど、そのリアルな実態と理由を知りたいビジネスパーソンの方
  • パートナーや友人がコンサルタントで、その働き方を心配している方
  • 高年収のプロフェッショナルが、なぜ高年収たり得るのか、その裏側を覗いてみたい方

「コンサルタント」と聞くと、あなたは何を思い浮かべるだろうか。

高層ビルのオフィス、パリッとしたスーツ、高年収。そんな華やかなイメージの一方で、必ずセットで語られるのが「激務」という言葉だ。

深夜2時、クライアントへの最終報告資料を睨みながら飲む3本目のエナジードリンク。鳴り止まない上司からのチャット通知。金曜の夜にようやく家にたどり着き、土曜の朝には再びPCを開く…。

そんな「24時間戦えますか?」を地で行くような働き方は、果たして今も健在なのだろうか。

働き方改革が叫ばれて久しいこの時代、業界のリアルはどう変わったのか。

元“中の人”として、キレイごとや噂話は一切抜きに、その実態と、多くの人が見誤っている「激務の本質」について、包み隠さず語ろうと思う。

結論:「昔よりマシ、でも普通の会社員とは比較不能」がリアルな答え

まず、いきなり結論から言おう。

「コンサルの残業は、昔に比べれば間違いなくマシになった。しかし、一般的な事業会社の感覚で言えば、今もなお“激務”の部類に入る」

これが、最もリアルな答えだ。

かつては、月間の残業時間が200時間を超えることも珍しくなく、徹夜やタクシー帰りが日常茶飯事という、今では信じられないような労働環境がまかり通っていた。

だが、さすがに昨今はコンプライアンス意識の高まりもあり、各ファームとも必死で労働時間を管理しようとしている。PCのログは厳しく監視され、深夜労働や休日出勤には面倒な申請が必要になった。

その結果、OpenWorkなどの社員口コミサイトを見ても、コンサルティング業界の平均残業時間は、一時期よりは減少傾向にある。

だが、勘違いしてはいけない。

例えば、大手総合コンサルファームの平均残業時間は、今でも月間60〜80時間程度のレンジに収まっていることが多い。これは、一般的な事業会社の平均(20〜30時間程度)と比較すれば、依然として2倍以上の水準だ。

「昔よりマシになった」という言葉は、あくまで「異常な状態」が「かなり大変な状態」になった、という程度の変化でしかない。

「コンサルも楽になったらしい」という甘い幻想を抱いてこの世界に足を踏み入れると、間違いなく初日で心が折れることになるだろう。

なぜコンサルは激務にならざるを得ないのか?

では、なぜコンサルタントは、これほどまでに働かなくてはならないのか。

根性論や古い体質だけが理由ではない。そこには、極めてシンプルな構造的理由が存在する。

それは、「クライアントからの期待値が、異常に高いから」だ。

考えてみてほしい。企業がコンサルタントに支払うフィーは、極めて高額だ。若手のコンサルタント一人あたりでも、月額200万〜300万円以上になることはザラにある。

クライアントは、その大金を払って、何を期待しているのか。

それは、「自分たちでは、何ヶ月、何年かけても解けなかった経営課題を、わずか数週間から数ヶ月という短期間で解決に導いてくれること」だ。

つまり、コンサルタントの価値は、以下の数式で決まる。

価値 = 成果(アウトプット) ÷ 時間

この方程式において、クライアントが支払うフィーに見合うだけの「価値」を生み出すにはどうすればいいか。

「成果」の質を極限まで高め、かつ、それを達成する「時間」を極限まで圧縮するしかない。

その結果、必然的に仕事の「密度」は異常なレベルにまで高まる。

1週間で業界の専門家になり、2週間で課題の真因を特定し、3週間で具体的な解決策を提示する。

この猛烈なスピード感についていくためには、必然的に労働時間は長くなる。

激務は、コンサルティングという仕事の本質に、構造的に組み込まれているのだ。

「時間」ではなく「知的体力」が尽きたら死ぬ世界

そして、これが最も重要な本質だ。

コンサルタントを本当に疲弊させるのは、単なる労働時間の長さではない。

本当にキツいのは、仕事の「密度」と「精神的負荷」だ。

常に複数の情報をインプットし、構造化し、仮説を立て、検証し続ける。上司やクライアントからの鋭いツッコミに、論理的に、かつ瞬時に応答しなくてはならない。アウトプットの質が少しでも低ければ、容赦なく突き返される。

この、常に脳をフル回転させ続ける状態が、肉体的な疲労とは比較にならないほどの消耗をもたらす。

これを、僕は「知的体力」と呼んでいる。

近年の働き方改革で、無駄な会議や非効率な作業は確かに減った。その意味では、「楽になった」部分もあるだろう。

だが、その分、コンサルタント一人ひとりに求められる「思考の深さ」や「アウトプットの質」は、むしろ格段に上がっている。

「時間」という制約が厳しくなった分、より短時間で、より高いレベルの思考力が求められるようになったのだ。

睡眠時間を削る体力勝負から、いかに効率的に脳を使い、知的体力を維持するかという、より高度な戦いへとシフトしている。

コンサル業界を目指すなら、覚悟すべきは残業時間ではない。

自分の思考の限界と、毎日向き合い続けることができるか。その「知的体力」こそが、問われているのだ。

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