タイトル:年収が上がらないのは会社のせいじゃない。あなたが「売れない商品」なだけだ。

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 今の年収に不満があり、本気で収入を上げたいと考えている方
  • 「会社が評価してくれない」「頑張っているのに給料が上がらない」と嘆いている方
  • 自分にはどんな価値があるのか、胸を張って説明できない方
  • 受け身の姿勢を捨て、自分の力でキャリアと年収をコントロールしたい方
  • 転職を考えているが、何をアピールすればいいか分からず悩んでいる方

「年収を上げたいんです」

この切実な願い、よく分かります。物価は上がる一方なのに、給与明細の数字はピクリとも動かない。将来への不安ばかりが募っていく。その気持ち、痛いほど理解できます。

でも、もしあなたが「いつか会社が評価してくれるはず」「景気が良くなれば給料も上がるだろう」なんて、淡い期待を抱いているのだとしたら。今日は、その幻想を木っ端微塵に打ち砕かなければなりません。

結論から言います。あなたの年収が上がらないのは、会社のせいでも、社会のせいでもありません。たった一つの、残酷な真実に行き着きます。

それは、あなた自身が、労働市場において「売れない商品」だからです。

「商品を売る」という視点で、自分のキャリアを考えたことがありますか?もしないのであれば、それがあなたの年収が頭打ちになっている根本原因です。給料とは、会社からの「お恵み」ではありません。あなたが提供した価値に対する「対価」です。この超基本的な原則から、目をそらしてはいけません。

この記事では、あなたを「商品」と見立て、その価値をどう高め、誰に、どうやって高く売るのか。そのための、極めて実践的で、少し厳しい話をします。

あなたは「自分」という商品の価値を説明できますか?

今、目の前に企業の採用担当者がいると想像してください。彼があなたにこう問いかけます。

「あなたという商品を、我が社はいくらで買うべきですか?その値段の根拠を、具体的に説明してください」

どうでしょう。あなたは、自信を持って、論理的に、その価値と値段の根拠をプレゼンできますか?

「私は真面目に、コツコツと仕事に取り組みます」 「コミュニケーション能力には自信があります」 「頑張り屋です」

もし、あなたがこれくらいの答えしか思い浮かばないのなら、残念ながら、あなたは「高値で売れる」商品ではありません。それは商品の「特徴」を言っているだけで、顧客にとっての「便益(ベネフィット)」になっていないのです。

スーパーで売っているリンゴを考えてみてください。「このリンゴは、私が丹精込めて作りました!」とだけ書かれていても、買い手は困りますよね。「糖度15度以上で、蜜がたっぷり入っています。だから、あなたは最高に甘くて美味しいデザート体験ができますよ」と書かれていて初めて、顧客は「1個300円でも買おうかな」と思うわけです。

あなたの値段、つまり年収を決めるのは、あなたの「頑張り」ではありません。あなたを雇うことで、企業がどれだけの利益を得られるか。その期待値です。このシビアな現実を、まずは骨の髄まで叩き込んでください。

ステップ1:「商品価値」の棚卸しと強化

では、どうすれば「高く売れる商品」になれるのか。まずやるべきは、あなたという商品の「棚卸し」です。自分の価値を構成する要素を分解し、客観的に把握するのです。

①機能的価値(スキル)の棚卸し

まず、あなたのスキルを紙に書き出してください。ポイントは、「専門スキル」と「ポータブルスキル」に分けて整理することです。

  • 専門スキル: 特定の業界や職種でしか通用しない、専門的な知識や技術。(例:特定のプログラミング言語、医療機器の操作、特定の法律に関する知識など)
  • ポータブルスキル: 業界や職種が変わっても持ち運びができる、汎用的な能力。(例:論理的思考力、課題解決能力、プロジェクトマネジメント、語学力、マーケティング知識など)

多くの人は専門スキルばかりに目が行きがちですが、年収を上げる上で重要なのは、むしろポータブルスキルです。これが、あなたの価値の「土台」になります。

②希少価値(レア度)の分析

次に、書き出したスキルが、市場にどれくらい溢れているかを考えます。需要と供給の法則です。誰でも持っているスキルは、価値が低くなります。逆に、持っている人が少ない希少なスキルは、価値が高まります。

ここで重要なのが「スキルの掛け算」という視点です。

例えば、「営業ができる人」は市場にたくさんいます。しかし、「営業ができて、かつ英語で商談ができる人」となると、その数はぐっと減ります。さらに、「営業ができて、英語が話せて、IT業界の知識も深い人」となれば、極めて希少な人材です。企業は、こういう人材にこそ高いお金を払いたいのです。

あなたのスキルセットは、どんな掛け算ができますか?その掛け算は、市場で求められていますか?この視点で、自分の「レア度」を分析してください。

③価値の強化プランを立てる

棚卸しと分析が終われば、あなたに足りないもの、これから強化すべき点が見えてくるはずです。それに対して、具体的な行動計画を立てます。

「英語力が足りないなら、TOEIC900点を目指して毎日1時間勉強する」 「マーケティング知識が弱いなら、専門書を10冊読んで、副業でブログを運営してみる」 「プログラミングの基礎がないなら、オンライン講座に申し込んで、簡単なアプリを作ってみる」

「いつかやろう」は、永遠にやりません。具体的な目標と期限を決めて、今日から行動に移すのです。これが、あなたという商品の「新機能開発」であり「品質改善」です。

ステップ2:「顧客」は誰か?ターゲティングの重要性

どんなに素晴らしい商品を作っても、それを欲しがらない相手に売り込んでも無駄ですよね。iPhoneを、スマホに全く興味のない秘境の集落で売ろうとしても、誰も買ってはくれないでしょう。

あなたという商品を、最も高く評価し、喜んで買ってくれる「理想の顧客(企業)」はどこにいるのか。これを考えるのが「ターゲティング」です。

①業界の収益性を見極める

残酷な事実ですが、あなたがどの業界に身を置くかで、年収の上限はほぼ決まってしまいます。例えば、利益率が低い業界でどんなに頑張っても、社員に分配される原資そのものが少ないのです。

国税庁の「民間給与実態統計調査(令和4年分)」によると、業種別の平均給与は、「電気・ガス・熱供給・水道業」が747万円と最も高く、次いで「金融業、保険業」が656万円、「情報通信業」が632万円です。一方で、「宿泊業、飲食サービス業」は268万円となっています。

もちろん、これが全てではありませんが、儲かっている業界に身を置く方が、年収が上がりやすいのは紛れもない事実です。あなたは、ちゃんと「儲かる市場」で戦っていますか?

②企業のフェーズとニーズを分析する

同じ業界でも、企業によって求める人材は全く違います。

創業期のベンチャー企業は、0から1を生み出せる、カオスを楽しめる人材を高く評価するかもしれません。 安定した大手企業は、既存の仕組みを改善・効率化できる、調整能力の高い人材を求めるでしょう。

あなたのスキルセットとキャラクターは、どんな企業の、どんな課題を解決できるのか。自分の「売り先」として、本当に今の会社が最適なのか。常に、市場全体を俯瞰して、あなたの価値が最大化される場所を探し続ける必要があります。

ステップ3:「営業活動」を始めよ。価値の伝え方

商品価値を高め、ターゲット顧客を見つけたら、最後のステップは「営業活動」です。あなたの価値を、相手に正しく、魅力的に伝えるのです。

ここで言う「営業ツール」とは、あなたの職務経歴書であり、面接です。

職務経歴書は、単なる経歴の年表ではありません。あなたという商品の「カタログ」です。そこには、「私は、〇〇という課題に対して、△△というスキルを用いて、□□という行動を取り、結果として売上を〇〇%向上させました」というように、具体的な実績と、そこに至るプロセス、そして再現性を「数字」で示さなければなりません。

そして面接は、一世一代の「商談」の場です。自信なさげにボソボソ話す営業マンから、誰も高価な商品を買おうとは思いませんよね。自信を持って、堂々と、あなたという商品をプレゼンしてください。相手(企業)が抱える課題を深く理解し、その解決策として「私」という商品を売り込むのです。

「待ち」の姿勢を捨て、自ら価値を届けに行け

年収は、勤続年数に応じて自動的に上がっていく「定期預金の利息」ではありません。

あなた自身が、自分という商品を絶えず磨き続け、その価値を正しく評価してくれる顧客を探し出し、適切な方法で売り込んで初めて、その対価として手に入るものです。

会社の評価に不満を言うのは、簡単です。しかし、それは「うちの商品の良さが分からない客が悪い」と言っているのと同じ、三流の営業マンの発想です。

一流のビジネスパーソンは、顧客のせいにしません。商品の価値が伝わらないなら、伝え方を変える。それでも売れないなら、商品を改良する。あるいは、もっと高く評価してくれる、新しい顧客を探しに行く。ただそれだけです。

さあ、会社の愚痴を言うのは今日で終わりにしましょう。 まずは、あなたという商品の「棚卸し」から。机の前に座り、紙とペンを用意して、自分の価値を分解することから始めてみませんか。

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