
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- 自社のIT部門が、ただの「PC修理係」になっていると危機感を抱いている方
- 経営層や他部署から「コストセンター」と見られ、正当な評価を得られていないIT担当者の方
- 現場の事業部が、勝手にクラウドサービスを使い始め、統制が取れなくなっている状況に悩む方
- これからの時代に、本当に価値のあるIT部門とは何か、その答えを探している全ての方
かつて、情報システム部門は、社内のITを一手に担う「頼れる専門家集団」だったはずです。 しかし、時代は変わりました。
気づけば、現場から「融通が利かない」「話が通じない」と煙たがられ、経営層からはコスト削減の対象としか見られていない…。そんなIT部門、あなたの会社にもありませんか?
これは、他人事ではありません。 今日は、IT部門がその存在価値を完全に失い、社内から「不要」の烙印を押される3つの典型的な瞬間…すなわち「死亡フラグ」について、厳しい現実を突きつけたいと思います。
死亡フラグ1:事業部が“シャドーIT”を使いこなし始めたとき
最初の、そして最も危険な死亡フラグ。 それは、現場の事業部が、あなたたちIT部門の許可なく、勝手に便利なクラウドサービスを使いこなし始めたときです。これを、我々は「シャドーIT」と呼びます。
なぜ、シャドーITが生まれるのか? 答えは単純。あなたたちIT部門の動きが、絶望的に遅いからです。 現場が「この業務を効率化するために、〇〇というSaaSツールを使いたい」と申請しても、「セキュリティが…」「前例が…」と数週間、数ヶ月も待たせる。その間に、現場は痺れを切らし、「情シスに頼むより、自分たちでクレカ決済した方が100倍速い」という真実に気づいてしまうんです。
Gartner社の調査によれば、企業のIT支出のうち、IT部門が関与しない割合は年々増加しています。Slack、ChatGPT、Notion…もはや、専門家でなくとも、高度なツールを安価に、そして簡単に導入できる時代です。
現場がITを使いこなし始めたとき、あなたたちIT部門は「専門家」としての権威を失い、ただサーバーやネットワークの面倒を見るだけの「インフラ番人」に成り下がります。これが、一つ目の死亡フラグです。
死亡フラグ2:「できません」が口癖になったとき
IT部門の本来の価値は、ビジネス上の課題を、テクノロジーの力で解決することのはずです。 しかし、いつの間にか、ビジネスを前に進めるのではなく、「できない理由」を探すのが仕事になっていませんか?
「そんなことをしたら、セキュリティリスクが…」 「うちの基幹システムでは、その連携はできません」 「前例がないので、承認できません」
これらは全て、IT部門が“思考停止”に陥っているサインです。 ビジネスサイドは、常にスピードを求めています。100点満点の完璧なシステムより、まずは60点でいいから、早く市場に投入したい。それに対して、IT部門が「守り」の論理ばかりを振りかざし、ビジネスの「ブレーキ」になってしまう。
これほど、経営層や現場から嫌われる存在はありません。 「できません」ではなく、「その方法ではリスクが高いですが、〇〇という代替案なら実現可能です」と、ビジネスパートナーとして対案を提示できるか。 この姿勢を失ったとき、IT部門はただの“評論家集団”と見なされ、その存在価値を完全に失います。
死亡フラグ3:経営会議で「金の話」ができないとき
そして、これが最後の、そして致命的な死亡フラグです。 それは、IT部門が、いつまでも経営の場で「技術の話」しかできないことです。
「サーバーを最新機種にリプレイスする必要があります」 「この新しいプログラミング言語は、生産性が高いです」 …正直に言って、経営陣はあなたのその話に1ミリも興味がありません。
彼らが聞きたいのは、たった一つ。「金の話」です。 「そのIT投資が、どうやって売上を増やし、コストを下げ、最終的に会社の利益に貢献するのか?」
「このAIツールを導入すれば、営業部門の成約率が5%向上し、年間3000万円の増収が見込めます」 「このクラウド移行プロジェクトで、サーバーの維持コストと電気代を、年間800万円削減できます」
全てのIT施策を、具体的な「金額」に翻訳して語れるか。 この「経営言語」を習得できず、技術的な自己満足に終始しているIT部門は、経営のパートナーとは見なされません。ただの“金食い虫”として、予算を削られ、静かにその役割を終えることになるんです。
これからの時代、サーバーやPCの面倒を見るだけの「守りの情シス」は、確実に淘汰されます。 求められるのは、ビジネスの最前線に立ち、テクノロジーを武器に事業をドライブする「攻めのIT」です。
シャドーITを敵視せず、彼らを導く。 「できません」ではなく、「どうすればできるか」を語る。 技術語ではなく、経営語で、会社の利益を語る。
この変革ができないのなら、あなたの部署は、近い将来、必ず“不要”になります。 もう、会社の“お荷物”でいるのは、やめにしませんか? ITの力で、会社を、そしてあなた自身の未来を変える。その覚悟が、今、問われています。
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