
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- ロジカルシンキングを学んだはずなのに、全く仕事で活かせていない方
- 上司から「で、結論は?」「もっと論理的に話して」と詰められてしまう方
- 自分の話がいつも長くなり、結局何が言いたいのか分からなくなってしまう方
- 才能ではなく、後天的な努力で「地頭が良い人」になりたい全ての方
「ロジカルシンキング研修、受けました」 「MECE?ロジックツリー?はい、知ってます」
…素晴らしい。では、その素晴らしい知識を使って、昨日の会議で何か価値のある発言ができましたか?上司を唸らせるような提案ができましたか? おそらく、答えは「ノー」でしょう。
研修で学んだフレームワーク。いざ実践の場になると、頭が真っ白になって、結局いつも通りの、要領を得ないフワフワした話しかできない…。そして、「自分はやっぱり頭が悪いんだ」と落ち込む。
今日は、そんなあなたに、残酷な真実と、一筋の希望をお話しします。 あなたが論理的になれないのは、頭が悪いからじゃありません。ロジカルシンキングという“武器”の、使い方を根本的に、そして絶望的に間違っているだけなんです。
なぜ、あなたの思考はいつまでも“非論理的”なのか
多くの人が、ロジカルシンキングを「MECE」や「ロジックツリー」といった“フレームワーク(型)”を覚えることだと勘違いしています。これが、全ての悲劇の始まりです。
料理に例えるなら、あなたは最高の包丁やフライパンの“使い方”だけを学んだ状態。でも、肝心の「食材」がなければ、何一つ料理は作れませんよね?
思考における食材とは何か。それは、信頼できる「一次情報」と、動かぬ「事実(ファクト)」です。 あなたの思考がいつもフワフワして説得力がないのは、ネットで拾った誰かの意見や、社内の又聞きといった、加工済みの「二次情報」という名のジャンクフードばかりをこねくり回しているからです。
ある調査によれば、データに基づいた意思決定を行う企業は、そうでない企業に比べて生産性が5〜6%高いと言われています。論理とは、確固たる「事実」という土台の上にしか成り立たない。この大原則を、まず骨の髄まで叩き込んでください。
「So What?(だから何?)」と「Why So?(それはなぜ?)」という、たった2つの武器
難しいフレームワークは、一旦全部忘れてください。 あなたが日常で意識すべきは、たった2つの「問い」だけです。この2つを、呼吸をするように繰り返す。それだけで、あなたの思考は劇的に変わります。
武器1:「So What?(だから、何なの?)」 これは、目の前の事実から「本質的な意味合い」や「次に取るべきアクション」を導き出すための問いです。 例えば、「今月の売上が目標に対し10%未達だった」という事実があったとします。ここで思考停止せず、「So What?」と自問するんです。 「だから何? → だから、主要顧客A社からの受注が減っているという“仮説”が立てられるな」 「だから何? → だから、今すぐA社にアポイントを取るという“アクション”が必要だ」 事実を、意味のある「示唆」に変える。これが「So What?」の力です。
武器2:「Why So?(それは、なぜ?)」 これは、一つの結論や事象を、その根っこまで深く掘り下げるための問いです。 例えば、「若者の間でカーシェアが流行っている」という話を聞いたとします。ここで「へぇー」で終わらず、「Why So?」と自問する。 「なぜ? → 車を所有したくないからだ」 「なぜ? → 維持費が高いからだ」 「なぜ? → 収入が伸び悩んでいるからだ」 このように、「なぜ?」を5回繰り返すことで、表面的な事象の奥に隠された、本質的な原因にたどり着くことができます。
ロジカルシンキングは“素振り”である。いきなり試合で使うな
ロジカルシンキングは、野球の「素振り」と同じです。 研修で学んだだけのあなたは、まだバットの握り方を知っただけの状態。それなのに、いきなり大事な会議という“試合”で、見事なホームランを打とうとするから、空振りして恥をかくんです。
必要なのは、日々の地味な「素振り」。 例えば、毎朝のニュース記事を一本読んで、「So What?(この記事から言えることは?)」と「Why So?(なぜこの問題は起きた?)」を、誰に見せるでもなく、ノートに書き出してみる。 友人との何気ない会話を、頭の中で「彼の結論は〇〇で、理由は3つだな」と、勝手に構造化してみる。
この、誰にも評価されない、地味で泥臭い「一人壁打ち」。この思考の筋トレを、毎日毎日、飽きずに続けられるか。それだけが、あなたを「論理的な人」に変える、唯一の方法です。
ロジカルシンキングは、生まれつきの才能ではありません。 それは、後天的に習得できる、思考の「スキル」であり「スポーツ」です。
難しいフレームワークを振り回す前に、まずは「So What?」と「Why So?」という2本の剣を、毎日磨き続けてください。
頭の良さとは、知識の量じゃない。思考の深さと、その“習慣”のことです。 今日から、あなたも思考の筋トレを、始めてみませんか?
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