【警告】セキュリティ無視のあなたへ。明日、あなたの会社が“炎上”する5つの理由

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 「うちは中小企業だから、サイバー攻撃の標的にはならない」と信じている経営者の方
  • IT担当者がおらず、セキュリティ対策を何から手をつければ良いか分からない総務担当の方
  • コストを理由に、セキュリティ対策を後回しにし続けているすべての方
  • 会社の信用を一夜にして失う前に、今すぐ現実を直視したい方

「サイバー攻撃」「情報漏洩」。ニュースで毎日のように目にする言葉ですが、どこか他人事だと思っていませんか?「狙われるのは有名な大企業だけ。うちは社員数名の小さな会社だから、攻撃者もわざわざ狙ってくるはずがない」。その根拠のない自信、その正常性バイアスが、あなたの会社を破滅の淵に追いやるのです。

はっきりと言いましょう。攻撃者は、あなたの会社を狙っています。いや、既に侵入しているかもしれません。なぜなら、セキュリティ対策が甘い中小企業は、彼らにとって格好の「草刈り場」だからです。大企業を正面から攻め落とすより、無防備なあなたを踏み台にして、取引先である大企業へ侵入する方が、よほど効率的なのですから。

この記事では、多くの中小企業が陥っている、IT運用における致命的なセキュリティの落とし穴を5つ、一切の容赦なく、しかし具体的なデータとロジックを以て解説します。読み進めるうちに、背筋が凍るような思いをするかもしれません。しかし、ここで目を背ければ、待っているのは事業停止、顧客からの信頼失墜、そして莫大な損害賠償という名の地獄です。会社の未来を守る覚悟がある方だけ、この先へお進みください。

『うちは小さいから狙われない』という、あまりに致命的な勘違い

これが全ての過ちの始まりであり、中小企業の経営者が抱く最大の幻想です。そして、攻撃者が最も好む、最高に都合のいい油断に他なりません。

なぜ、この考えが根本的に間違っているのか。理由は2つあります。

第一に、攻撃者はもはや「一攫千金」を狙う単独犯だけではないからです。彼らはビジネスとして、極めて合理的に動きます。防御の固い大企業の城壁をよじ登る労力と、鍵のかかっていない中小企業のドアを片っ端から開けて回る労力、どちらが「投資対効果」に優れているかは、考えるまでもありません。あなたの会社は、金銀財宝が眠る宝の蔵としてではなく、「誰でも簡単に侵入できる無人の商店」としてリストアップされているのです。

第二に、さらに深刻なのが「サプライチェーン攻撃」の踏み台にされるリスクです。東京商工リサーチの調査によれば、サイバー攻撃を受けた経験がある企業のうち、実に**52.5%**が取引先や委託先を経由した攻撃、つまりサプライチェーン攻撃を経験しています。攻撃者は、セキュリティの甘いあなたを乗っ取って「正規の取引先」になりすまし、本丸である大手企業への侵入を試みるのです。

もしあなたの会社が原因で取引先に甚大な被害を与えたら、どうなるでしょうか。取引停止はもちろん、損害賠償請求は免れません。会社の信用は地に落ち、「あの会社と取引すると危ない」というレッテルを貼られ、業界から抹殺される可能性すらあります。

「うちは小さいから」という言い訳は、もはや通用しません。あなたは、自覚がないまま、巨大な経済圏における「最も脆い鎖」の一つになっているのです。その鎖が断ち切られた時、影響はあなたの会社だけに留まらないという事実を、肝に銘じるべきです。

パスワードの使い回し。それは会社の金庫の鍵をSNSで公開するのと同じ

基本中の基本でありながら、驚くほど多くの企業で野放しになっているのが、パスワード管理の杜撰さです。もしあなたの会社で、以下の項目に一つでも当てはまるなら、それはもはや過失ではなく、意図的な”自殺行為”です。

  • 複数のシステムで同じパスワードを使い回している
  • 「password」や「123456」のような単純な文字列を許可している
  • ルーターや複合機の初期パスワードをそのまま使っている
  • 退職した社員のアカウントを削除していない
  • 多要素認証(MFA)を導入していない

IBMの「データ侵害のコストに関するレポート2023」によれば、データ侵害の原因の実に**15%**が「盗まれた、あるいは侵害された認証情報」によるものです。これは、フィッシング(16%)に次いで2番目に多い原因であり、極めて深刻な脆弱性です。

考えてみてください。パスワードを使い回すということは、一つの鍵で自宅も、車も、会社の金庫も開けられるようにしているのと同じです。どこか一箇所で鍵が盗まれれば(つまり、あるサービスからパスワードが漏洩すれば)、あなたの全ての資産が危険に晒されます。

「社員に複雑なパスワードを強制するのは面倒だ」「多要素認証は手間がかかって業務効率が落ちる」。そんな寝言を言っている場合ではありません。そのわずかな手間を惜しんだ結果、あなたは顧客情報という最も守るべき資産を、ダークウェブ上で安値で売り飛ばされるリスクを放置しているのです。

今すぐ、全社員に複雑でユニークなパスワードの使用を徹底させ、パスワード管理ツールを導入し、そして全ての重要システムに多要素認証を「強制」してください。これはもはやIT担当者の仕事ではなく、経営者が断固たる決意で実行すべき、最低限の経営責任です。

無料ツールという麻薬。タダより高いものはないと知れ

コスト意識が高いのは素晴らしいことです。しかし、その意識が「セキュリティ」という最も重要な投資先に向かわないのは、愚かとしか言いようがありません。特に、無料のツールやサービスを安易に業務利用している企業は、自ら時限爆弾を抱え込んでいるようなものです。

無料のチャットツール、無料のファイル共有サービス、街中のフリーWi-Fi。これらの「無料」には、必ず裏があります。

なぜ無料なのか?一つは、あなたの行動履歴やデータを収集し、広告などに利用するためです。そしてもう一つは、有料版に比べてセキュリティ機能が大幅に削られているからです。利用規約の小さな文字をよく読んでみてください。「本サービスの利用により生じたいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いません」という一文が必ず見つかるはずです。

社員が個人のスマートフォンで、無料チャットアプリを使って顧客情報を含むやり取りをする。カフェのフリーWi-Fiに接続して、会社の重要なファイルにアクセスする。経営者や管理者がこの「シャドーIT」と呼ばれる野良利用を把握・管理できていない状態は、極めて危険です。

ウイルス対策ソフトも同様です。無料のソフトは、最低限の機能しか備えていません。最新の脅威であるランサムウェアや未知のマルウェアに対応する高度な検知機能(EDRなど)は、当然ながら搭載されていません。

「パソコンが動かなくなった」「ファイルが開けなくなった」。その時になってからでは遅いのです。セキュリティ対策は、火災保険と同じです。火事が起きてからでは加入できないように、インシデントが発生してからでは意味がありません。ビジネスで利用するツールやサービスには、その安全性と信頼性のために、適切な対価を支払う。これはコストではなく、事業を継続するための「投資」なのです。その発想の転換ができない限り、あなたは常にリスクに晒され続けます。

去る者、災いを残す。退職者アカウントという亡霊

人の入れ替わりは、どの企業にもある当然の出来事です。しかし、その「出口管理」が驚くほど疎かにされているのが、多くの中小企業の現実です。

退職した社員のメールアカウントや、社内システムへのアクセス権限が、退職後も放置されていませんか?これは、悪意を持った元従業員に「どうぞ、いつでも情報を盗んでください」と、会社の裏口の鍵を渡しているのと同じ行為です。

Verizonの「2024年データ侵害調査報告書」では、脅威アクターの**16%**が内部関係者、つまり従業員や元従業員であることが示されています。退職時に会社の機密情報や顧客リストをUSBメモリにコピーして持ち出すといった古典的な手口に加え、退職後も生き続けているアカウントを使ってシステムに侵入し、情報を盗み出したり、データを破壊したりするケースが後を絶ちません。

たとえ元従業員に悪意がなかったとしても、放置されたアカウントは別のリスクを生みます。そのアカウントのIDとパスワードが過去にどこかで漏洩していた場合、攻撃者はそれを悪用して、いとも簡単にあなたの会社に侵入できてしまうのです。

人事部門とIT部門(あるいは兼任の総務担当者)の連携不足が、この致命的な脆弱性を生み出しています。退職者が出た場合、退職日をもって、関連する全てのアカウントを即座に停止・削除する。この当たり前の業務フローが確立されていない会社は、組織としての危機管理能力がゼロに等しいと言わざるを得ません。人の善意や忠誠心に期待する性善説に基づいたセキュリティは、ビジネスの世界ではただの怠慢です。

炎上!その時、あなたの会社は沈黙し、崩壊する

最後の落とし穴は、これまで述べてきた全てのリスクが現実になった時、つまり「インシデントが発生した時」の対応です。完璧な防御が存在しない以上、いつかは攻撃を受けることを前提に、備えておかなければなりません。

ウイルスに感染した。サーバーに不正アクセスされた。顧客情報が漏洩したかもしれない。その時、あなたの会社は、迅速かつ的確に行動できますか?

  • 誰が責任者として指揮を執るのか?
  • 誰が技術的な調査を行うのか?
  • 誰が顧客や関係省庁に報告するのか?
  • 被害の拡大を防ぐために、まず何をすべきか?

これらの手順、いわゆる「インシデント対応計画(インシデントレスポンスプラン)」が事前に定められていなければ、組織は必ずパニックに陥ります。担当者は責任のなすりつけ合いを始め、経営者は事態の隠蔽を図ろうとし、その間に被害は刻一刻と拡大していく。これが最悪のシナリオです。

IBMのレポートによれば、データ侵害を特定してから封じ込めるまでにかかる日数は、平均で277日。実に9ヶ月以上です。この対応の遅れが、被害額を雪だるま式に膨らませる最大の原因となります。

インシデント発生時の最悪の対応は「沈黙」と「隠蔽」です。一時的に難を逃れられるように見えても、いずれ必ず発覚します。その時、あなたは技術的な失敗だけでなく、組織としての倫理観の欠如を問われ、社会的な信用を完全に失うことになるのです。

火事の際の避難訓練を行うように、サイバー攻撃を受けた際の対応訓練を、今すぐ計画してください。手順書を作り、役割を定め、実際にシミュレーションしてみる。その備えがあるかないかが、有事の際に会社の存亡を分けるのです。

ここまで厳しく、耳の痛い話ばかりをしてきました。しかし、これらは全て、あなたの会社を本気で守るために必要な現実です。セキュリティは、面倒で金のかかるコストセンターではありません。それは、あなたのビジネスと顧客からの信頼を守り、事業を継続させるための、最も重要な「投資」なのです。まずは、自社の現状がいかに危険であるかを正しく認識することから始めてください。その一歩が、会社を救うのです。

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