【超入門】論理的思考力とは?身につけると得する3つのこと|仕事と人生が変わる思考法

この記事は約9分で読めます。

【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 「論理的思考」という言葉を聞くと、少し難しそうだと感じてしまう方
  • 自分の考えをうまく整理したり、人に分かりやすく伝えたりするのが苦手な方
  • 仕事の効率を上げて、もっとスマートに成果を出したいと考えている方
  • 日々の悩みや問題に対して、スッキリした解決策を見つけたい方
  • これから何か新しいスキルを身につけて、自分をアップデートしたい方

「もっとロジカルに考えて」「話が分かりにくいよ」。 こんな言葉をかけられて、自信をなくしてしまった経験はありませんか? 「論理的思考力(ロジカルシンキング)」と聞くと、なんだか頭が良くて特別な人だけのスキルのように感じてしまうかもしれません。

でも、安心してください。論理的思考力は、決して難しいものでも、冷たいものでもありません。むしろ、ごちゃごちゃになった頭の中をスッキリ整理して、仕事や人生をスムーズに進めるための、とても温かくてパワフルな「道具」なんです。

この記事では、「論理的思考力って、一体なんなの?」という超基本的なところから、それを身につけることで得られる「3つの大きなメリット」、そして「今日からできる超簡単な始め方」まで、世界一やさしく解説していきます。

この記事を読み終える頃には、論理的思考力への苦手意識がなくなり、「私にもできそう!」と、新しい自分に出会うワクワクを感じているはずです。


そもそも「論理的思考力」って、一体なに?

まず、この言葉の正体から、肩の力を抜いて見ていきましょう。

論理的思考力とは、すごくシンプルに言うと「物事をパーツに分解し、きちんと筋道を立てて、分かりやすく整理する力」のことです。

料理に例えると、とても分かりやすいかもしれません。 美味しいカレーライスを作りたい時、いきなり鍋に具材を放り込む人はいませんよね。

  1. まず、どんなカレーにしたいか「完成形(結論)」をイメージする。
  2. 次に、必要な材料(人参、じゃがいも、お肉、ルーなど)を「パーツに分解」して用意する。
  3. そして、「野菜を切る→炒める→煮込む→ルーを入れる」という「正しい手順(筋道)」で調理を進める。

この一連の流れそのものが、論理的思考です。 情報や問題(=食材)を、論理(=レシピ)という手順に沿って整理・分析し、分かりやすい結論や解決策(=美味しいカレー)を導き出す。ただそれだけのことなんです。

よく「理屈っぽい人」と混同されがちですが、目的が全く違います。 相手を言いまかすために理屈をこねるのではなく、複雑なことをシンプルに解きほぐし、自分も相手もスッキリと理解し、前に進むために使うのが、本来の論理的思考力。 つまり、円滑なコミュニケーションと、スムーズな問題解決のための、超便利な思考ツールなのです。


論理的思考力を身につけると得する3つのこと【メリット解説】

では、この便利な道具を手に入れると、具体的にどんないいことがあるのでしょうか。ここでは、あなたの仕事と人生を豊かにする「3つの大きなメリット」を深掘りしていきます。

メリット1:説明が驚くほど分かりやすくなる(コミュニケーション能力の向上)

最大のメリットは、なんといっても「伝える力」が飛躍的にアップすることです。 なぜなら、論理的に考える癖がつくと、自然と「結論から話す」「話の筋道が通る」「理由や根拠をセットで話す」ことができるようになるからです。

「この前の件、どうなった?」

上司からこう聞かれた時、あなたならどう答えますか?

【ありがちな回答】 「はい、A社に連絡したんですけど、担当の〇〇さんが不在で、それで折り返しをお願いしたんですが、まだ連絡がなくて…。B社の方は資料を送ったら、いくつか質問が来て、それに昨日回答したところです。それで…」

これでは、聞いている方は「で、結局どうなの?」とイライラしてしまいますよね。

【論理的な回答】 「結論から言うと、まだ確定していません。A社は担当者不在で連絡待ち、B社は資料への質問に回答済み、という状況です。A社へは本日午後にもう一度こちらから連絡しますので、進捗あり次第、再度ご報告します。」

いかがでしょうか。後者の方が、圧倒的に分かりやすく、信頼できますよね。

リモートワークの普及で、テキストでのやり取りが増えた現代において、この「分かりやすく伝える力」の価値は急上昇しています。ある調査では、ビジネスにおけるコミュニケーションエラーが原因で、1人あたり年間約60万円もの損失が出ているという試算もあるほど。

論理的思考力は、あなたの評価を高めるだけでなく、無駄なやり取りを減らし、チーム全体の生産性を上げることにも直結する、まさに「稼げるスキル」なのです。

メリット2:仕事のスピードと質が劇的に上がる(生産性の向上)

「毎日がんばっているのに、なぜか仕事が終わらない…」 そんな悩みの原因も、論理的思考で解決できるかもしれません。

論理的思考ができる人は、仕事の進め方が違います。 まず、仕事全体を「分解」して、何をするべきかを明確にします。そして、それぞれのタスクの重要度と緊急度を判断し、「優先順位」をつけます。これにより、やるべきことに集中でき、無駄な作業に時間を奪われることがありません。

さらに、問題の本質を見抜く力も高まります。 例えば、「資料作成に時間がかかる」という問題に対して、ただ「もっと速くタイピングしよう」と考えるのではなく、「そもそも、この資料は本当に必要なのか?」「もっと効率的なフォーマットはないか?」と、根本原因にアプローチできるのです。

公益財団法人日本生産性本部の調査(2023年)によると、日本の時間当たり労働生産性は、OECD加盟38カ国中31位と、依然として低い水準です。これは、長時間労働が必ずしも成果に結びついていないことを示しています。

論理的思考力は、「がむしゃらに頑張る」という働き方から、「賢く、効率的に成果を出す」という働き方へのシフトを可能にしてくれます。結果として、仕事の質は上がり、残業は減り、プライベートの時間も豊かになるという、最高の好循環が生まれるのです。

メリット3:悩む時間が減り、正しい判断ができるようになる(問題解決能力の向上)

仕事や人生は、大小さまざまな「決断」の連続です。 「どの企画案を進めるべきか?」「転職すべきか、留まるべきか?」 こうした重要な局面で、私たちはしばしば感情に流され、判断を誤ってしまうことがあります。

ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマンは、人間には直感的で感情的な「速い思考(ファスト)」と、論理的で理性的な「遅い思考(スロー)」があると指摘しました。私たちは日常のほとんどを「速い思考」に頼っていますが、これが時に「認知バイアス」と呼ばれる思考の偏りを生み、不合理な判断に繋がることがあります。

論理的思考力は、この「遅い思考」を意識的に使うトレーニングです。 問題に直面したとき、一度立ち止まり、

  • 「今、起きている事実は何か?」
  • 「自分の感情(不安や希望)は一旦横に置こう」
  • 「考えられる選択肢は何か?」
  • 「それぞれのメリット・デメリットは何か?」

このように、感情と事実を切り分け、客観的に状況を分析することで、後悔の少ない、納得感のある決断ができるようになります。 これは、仕事上のトラブル解決はもちろん、人間関係の悩みや、キャリアプラン、資産形成といった人生の大きな問題に対しても非常に有効なアプローチです。論理的思考は、あなたを不要な悩みから解放し、自信を持って前に進むための「心のコンパス」になってくれるのです。


論理的思考が「ない」と、どうなる?ちょっと怖い話

ここまでメリットを話してきましたが、逆にこの力がないとどうなってしまうのかも、少しだけ見ておきましょう。

  • 話がいつも長くて、要点が伝わらない 一生懸命話しているのに、相手は上の空。「で、何が言いたいの?」と何度も聞かれ、だんだん話すのが怖くなってしまう。
  • いつも忙しいのに、なぜか成果が出ない 目の前のタスクに追われ、何から手をつければいいかパニック状態。気づけば納期ギリギリで、成果物の質も中途半半端に。
  • 同じような失敗を何度も繰り返してしまう トラブルが起きても、その場しのぎで対応。「ああ、またやっちゃった…」と落ち込むだけで、なぜ失敗したのかを深く考えないため、成長がない。

もし、少しでも「自分のことかも…」と感じたなら、それは絶好のチャンスです。なぜなら、原因が分かれば、あとは正しい方法でスキルを身につけるだけで、これらの悩みはすべて解決できるからです。


【超初心者向け】論理的思考力を養う、はじめの一歩

「よし、鍛えてみよう!でも何から?」 そんなあなたのために、今日、この瞬間から始められる、超簡単な3つのステップを紹介します。難しく考えず、ゲーム感覚で試してみてください。

ステップ1:まず「結論から話す」だけ意識してみる

完璧なPREP法などを最初から目指す必要はありません。 まずは、誰かと話すとき、メールを書くとき、心の中で「結論は、〇〇です」と最初に言ってみる練習から始めましょう。 「今日の報告ですが、結論、順調です」「次の会議のアジェンダですが、結論は3点です」 これだけで、あなたのコミュニケーションは劇的に変わります。まずはこの「結論ファースト」の意識だけ、徹底してみてください。

ステップ2:「So What?(だから何?)」と「Why So?(なぜそうなの?)」で考える癖をつける

これは、思考の質を深める魔法の問いかけです。 例えば、テレビで「今年の夏は猛暑になる見込みです」というニュースを見たとします。

  • So What?(だから何?) → 「だから、エアコンの売上が伸びるかもしれない」「だから、熱中症対策グッズが売れるかもしれない」「だから、自分の夏休み計画を見直すべきかもしれない」
  • Why So?(なぜそうなの?) → 「なぜなら、太平洋高気圧の勢力が強いからだ」「なぜなら、過去のデータからそういう傾向があるからだ」

このように、一つの情報に対して「だから、どういうこと?(結論の推測)」と「なぜ、そう言えるの?(根拠の確認)」をセットで考える癖をつけるのです。これが、論理的思考の基本である演繹法と帰納法の、最も簡単なトレーニングになります。

ステップ3:身近なものを「分解」してみる

MECEやロジックツリーと聞くと難しそうですが、要は「分解」です。 例えば、「あなたの仕事」を分解してみましょう。 「資料作成」「メール対応」「会議」「顧客訪問」…など、大きな塊を小さなパーツに分けてみる。さらに「資料作成」を「情報収集」「構成案作成」「スライド作成」「推敲」と分解してみる。 このように、身の回りのあらゆるものを分解して整理する遊びをしてみてください。頭の中が整理され、物事の全体像を捉える力が自然と身についていきます。


論理的思考力は「人生の武器」になる

論理的思考力は、単なる仕事のテクニックではありません。 キャリアプランを考える時、家や車のような大きな買い物をする時、家族と大切な話し合いをする時…私たちの人生は、あらゆる場面で「考えて、決める」ことの連続です。

そんな時、感情だけに流されず、かといって理屈だけでものを言わず、物事を冷静に整理し、自分も相手も納得できる道筋を見つけ出す力があれば、どれだけ心強いでしょうか。

論理的思考とは、あなたを縛るルールではなく、あなたを自由にするための翼です。 今日紹介した小さな一歩から、ぜひ始めてみてください。その一歩が、あなたの仕事と人生を、より豊かで、より納得のいくものに変える、確かな力になるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました