
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- 高い求人広告費を払い続けているのに、全く効果が出なくて悩んでいる方
- 会社の知名度が低く、採用市場で大手企業に見向きもされないと感じている方
- SNS採用に興味はあるけど、「うちにはキラキラした投稿なんてできない…」と躊躇している方
- 会社の「本当の魅力」を伝え、カルチャーに合う人材だけを効率的に集めたい方
- 広報や人事に専任担当者を置けない、忙しい中小企業の経営者・担当者の方
「求人サイトに数十万円払って掲載しても、応募は数えるほど。やっと来た面接では『御社のこと、正直よく知らなくて…』と言われる始末。採用コストだけが雪だるま式に膨らんでいく…」
こんな、悪夢のような採用活動から、今すぐ抜け出したくはありませんか?
実は今、多額の広告費を一切かけず、X(旧Twitter)やInstagramといった無料のツールを駆使して自社のファンを増やし、優秀な人材から「ぜひ、御社で働きたいです!」と熱烈な応募を集める中小企業が、日本全国で急増しています。
その成功のカギこそ、「SNS採用ブランディング」です。
これは、ただ求人情報を流すだけの「採用広報」ではありません。会社の「人柄」や「哲学」を伝え、未来の仲間を惹きつける、全く新しい採用戦略なのです。
この記事では、製造業、メディア、コンサルという全く異なる3社が、SNSを活用して採用コストを劇的に削減し、理想の人材獲得に成功したリアルな事例を徹底解剖。そして、彼らが実践した、誰でも今日から真似できる「5つの鉄則」まで、余すところなくお伝えします。
もはや常識!Z世代の7割以上が「SNSで就活」する時代
「そもそも、本当にみんなSNSで就活なんてしてるの?」と思うかもしれません。しかし、データは明確な現実を示しています。
株式会社No Companyが実施した「2025年卒 Z世代就活生のSNS利用実態調査」によると、就職活動の情報収集でSNSを利用している学生はなんと74.6%にものぼります。利用するSNSの内訳は、X(旧Twitter)が最も多く、次いでInstagram、YouTubeと続きます。
彼らは、企業の公式ホームページに書かれた「社員一同、心よりお待ちしております」といった綺麗な言葉を、そのまま鵜呑みにはしません。それよりも、SNS上で発信される「リアルな情報」や「社員の生の声」を重視し、その会社の「素顔」や「本音」を探ろうとします。
これは何を意味するのでしょうか?
つまり、SNS上に情報がない、あるいは発信が止まっている企業は、今の就活生にとって「存在しない」のと同じなのです。知名度や規模に関係なく、すべての企業が同じスタートラインに立てるSNSという主戦場を、特に中小企業は、もはや無視することはできません。
ただの採用広報じゃない。「採用ブランディング」とは何か?
SNS採用と聞くと、「SNSで求人募集の投稿をすること」と考える人が多いですが、それは少し違います。ここで重要になるのが、「採用広報」と「採用ブランディング」の違いを理解することです。
- 採用広報(チラシ配り)
- 目的:求人情報を広く知らせ、短期的な応募者を集めること。
- 例:「【急募】Webデザイナー募集!」「エントリーはこちらから!」といった投稿。
- 採用ブランディング(ファン作り)
- 目的:「働く場所」としての自社の魅力を伝え、中長期的なファンを作ること。
- 例:社員の日常、仕事へのこだわり、失敗談、社内イベントの様子などを発信する投稿。
お店に例えるなら、採用広報は「割引セールのチラシを配る」行為です。一時的にお客さんは来るかもしれませんが、セールが終われば来なくなってしまいます。
一方、採用ブランディングは「お店のこだわりや店員の人柄を伝え、常連さん(ファン)を作る」行為です。ファンになってもらえれば、チラシを配らなくても「あのお店が好きだから」という理由で、お客さん(候補者)の方から自然と足を運んでくれるようになります。
中小企業が目指すべきは、この「採用ブランディング」。広告費をかけずとも、「あなたの会社で働きたい」という人を惹きつける、強力で持続可能な資産を築くことなのです。
事例で学ぶ!プラットフォーム別・SNS採用ブランディング成功の法則
では、実際に成功している企業は、各SNSの特性をどのように活かしているのでしょうか。全く異なるタイプの3社の事例を見ていきましょう。
【X(旧Twitter)編】三陽工業株式会社:製造業のイメージを覆す「おもろい」発信
- どんな会社?:兵庫県姫路市に本社を置く、金属製品の研磨などを手掛ける、典型的なBtoBの製造業。
- どんな発信?:社長自らが「おもろい会社の社長」として顔出しで登場。仕事とは直接関係なさそうな日常の気づきやユニークな社内でのやりとり、社員を巻き込んだ面白い動画などを、ほぼ毎日ポストしています。その発信は一貫して「日本の製造業を、おもろく、かっこよく。」という熱い想いに貫かれています。
- なぜ成功した?:「製造業=3K(きつい、汚い、危険)」という世間の固定観念を、社長の人間味あふれる「おもろい」発信で破壊。「この社長がいる会社、なんだか楽しそう」「仕事に誇りを持っていてかっこいい」という共感と親近感を醸成しました。リアルタイム性と拡散力が高いXの特性を最大限に活かし、業界の内外に多くのファンを獲得しています。
- 驚きの成果:かつてはハローワークに求人を出しても応募がほとんどなかった状態から、SNS経由の応募が殺到。採用コストの大幅な削減に成功し、今では新卒採用の説明会が満席になるほどの人気企業へと変貌を遂げました。
【Instagram編】株式会社MERY:「好き」を仕事にする世界観をビジュアルで表現
- どんな会社?:20代女性向けのWebメディア「MERY」を運営。トレンドに敏感な若年層がターゲット。
- どんな発信?:採用アカウント(@mery_career)では、企業のロゴやテーマカラーで統一された、雑誌のように美しいビジュアルで情報を発信。おしゃれなオフィスの風景、働く社員のファッションスナップ、オンライン座談会の様子などを投稿しています。ストーリーズの質問機能で就活生の悩みに答えたり、ライブ配信で社員と交流したりと、双方向のコミュニケーションも非常に巧みです。
- なぜ成功した?:Instagramの強みである「ビジュアル」を徹底的に活用。ターゲットである「おしゃれや可愛いものが好きな学生」に対し、「MERYで働けば、自分の“好き”を追求しながら、こんなに素敵なライフスタイルが送れる」という憧れや理想像を明確に提示しました。言葉で説明するのではなく、写真や動画で「世界観」を伝えることに成功しています。
- 驚きの成果:採用サイトへの流入数や、説明会へのエントリー数が大幅に増加。何より、「MERYの世界観が好き」という熱量の高いファンからの応募が増えたことで、カルチャーフィットの精度が格段に上がり、採用のミスマッチが減少しました。
【note編】株式会社才流:「知の巨人」として専門性を惜しみなく発信
- どんな会社?:企業のBtoBマーケティングを支援する、少数精鋭のコンサルティング会社。
- どんな発信?:自社が持つBtoBマーケティングのノウハウや方法論を、一切出し惜しみすることなく、数千字を超える本格的なノウハウ記事としてnoteで無料公開。一見、採用とは関係ないように見えますが、その一つひとつの記事が、同社の圧倒的な専門性と知的誠実さを証明しています。
- なぜ成功した?:キラキラした日常や面白い投稿ではなく、ひたすらに「知」を提供することに特化。「この会社の人たちと一緒に働けば、自分の専門性を圧倒的に高められる」という、プロフェッショナル人材にとって最高の価値提案(EVP)を体現しました。文章でじっくりと思想や知識を伝えられるnoteの特性を活かし、小手先のテクニックではない本質的な魅力で、優秀な人材の心を鷲掴みにしたのです。
- 驚きの成果:求人広告費はゼロ。それにもかかわらず、noteを読んだ業界トップクラスの優秀なコンサルタントやマーケターから、「選考を受けさせてほしい」という問い合わせが絶えません。スキルや価値観のマッチ度も非常に高いため、採用のミスマッチはほぼゼロだと言います。
凡人でも真似できる!SNS採用ブランディング「5つの鉄則」
「事例はすごいけど、うちには無理かも…」。そう思った方もご安心ください。成功事例の裏側には、どんな企業でも真似できる共通の「鉄則」があります。
鉄則1:「誰に、何を伝えたいか」を紙に書き出す
いきなり投稿を始める前に、まず「どんな人に来てほしいのか(採用ペルソナ)」と「その人に、自社のどんな魅力を伝えたいのか(従業員価値提案)」を明確にしましょう。「20代の若手エンジニアに、うちの会社の技術力の高さと成長環境を伝えたい」といったように、ターゲットとメッセージを絞ることで、発信内容がブレなくなります。
鉄則2:完璧を目指さない。60点でいいから「続ける」
SNS運用で最も難しいのが「継続」です。担当者は通常業務と兼任している場合がほとんど。最初から完璧な投稿を目指すと、息切れしてしまいます。クオリティは60点で構いません。まずは「週に2回は必ず投稿する」といったように、無理のないペースで続けること。継続こそが、信頼とファンを生む最大の力です。
鉄則3:「中の人」のリアルな顔を見せる
候補者が知りたいのは、綺麗なオフィスや立派な事業内容だけではありません。それ以上に「どんな人たちが、どんな表情で働いているのか」を知りたがっています。公式感のある宣材写真よりも、社員の自然な笑顔や、仕事に真剣に取り組む眼差し。そんな「人間味」あふれる写真や動画が、候補者の心を動かします。
鉄則4:売り込まない。ひたすら「GIVE」に徹する
SNSは宣伝の場ではありません。候補者にとって役立つ情報(GIVE)を提供し、信頼を勝ち取る場です。仕事のノウハウ、業界の裏話、社員の失敗談、キャリアの考え方など、ひたすら価値ある情報を提供しましょう。「応募してください」というお願い(TAKE)は、10回の投稿のうち1回程度で十分です。
鉄則5:数字を追いすぎない。まずは「対話」を楽しむ
始めたばかりの頃は、フォロワー数や「いいね」の数が気になってしまうもの。しかし、一喜一憂する必要はありません。大切なのは、数字の向こうにいる「人」と向き合うこと。投稿にコメントをくれたら、丁寧に返信する。質問のDMが来たら、誠実に対応する。その一人ひとりとの地道な「対話」の積み重ねが、やがて大きな資産になります。
まとめ:SNSは、あなたという会社の「人柄」を伝える最強のツール
採用コストをかけられない中小企業にとって、SNSはもはや単なる選択肢ではなく、必須の戦略です。 SNS採用ブランディングは、特別な機材も、専門的な知識も、有り余る予算も必要ありません。必要なのは、自社の魅力を、会社の未来を信じ、それを「伝えたい」という情熱と、一歩踏み出して「続ける」という、ささやかな覚悟だけです。
SNSの世界では、会社の規模や知名度といった、これまで中小企業を苦しめてきた「鎧」は意味を持ちません。問われるのは、その会社が持つ独自の「人柄」です。あなたの会社のカルチャー、社員の温かさ、仕事へのこだわり。それらを、あなた自身の言葉で発信してみてください。
今日、あなたがつぶやいた何気ない一言が、まだ見ぬ未来のエース社員との、運命の出会いに繋がっているかもしれません。そんなワクワクする採用活動を、今日から始めてみませんか?
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