【図解】コンサル業界マップ|戦略・総合・IT・専門ファームの違いが一目でわかる

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • コンサル業界に興味を持ち始めたばかりで、全体像がよくわからない方
  • 「戦略」「総合」「BIG4」など、色々な種類があるけど違いが説明できない方
  • 自分がどのタイプのコンサルファームに向いているのか、客観的に判断したい就活生・転職希望者
  • 複雑なコンサル業界の構造を、シンプルに、ビジュアルで理解したい方

「コンサル業界って、なんだか複雑で分かりにくい…」そう感じていませんか?マッキンゼーのような戦略ファーム、デロイトなどのBIG4、アクセンチュアのようなITに強いファーム。多くのプレイヤーが存在し、それぞれが異なる特徴を持つため、全体像を掴むのは至難の業です。

しかし、ご安心ください。結論から言うと、複雑に見えるコンサル業界は、たった2つの軸で整理するだけで、驚くほどスッキリと理解できる「地図」を描くことができます。 なぜなら、全てのコンサルティングファームは、結局のところ「どんな課題を(What)」、「誰に対して(Who)」解決しているのか、という点で分類できるからです。

この記事では、独自の「コンサル業界マップ」というフレームワークを用いて、各ファームの位置付けと役割の違いを徹底的に図解・解説します。この記事を読み終える頃には、あなたはコンサル業界という広大な世界を俯瞰できる地図を手に入れ、自分が進むべき道を明確に見つけ出せるようになっているでしょう。


なぜ今、「業界地図」が必要なのか?

まず、なぜコンサル業界がこれほどまでに複雑化しているのか、その背景から見ていきましょう。

最大の理由は、業界の急成長とサービスの多様化です。IDC Japanの調査によれば、国内のコンサルティングサービス市場は2023年に1兆8,000億円を超え、前年比で10%以上の高い成長率を記録しています。この成長を牽引しているのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)、AIの活用、サステナビリティ経営といった、新しい経営課題の登場です。

企業が抱える課題が多様化するにつれて、コンサルティングファームもそれに応えるべく、専門性を高め、サービスを細分化させてきました。その結果、私たち就活生や転職希望者から見ると、「森全体が見えにくい」状況が生まれてしまったのです。だからこそ、個々の木(各ファーム)を見る前に、森全体を俯瞰するための「地図」が必要不可欠なのです。


コンサル業界を解き明かす「2つの軸」

それでは、業界地図を描くための2つの軸をご紹介します。この軸を頭に入れるだけで、あなたの業界理解は飛躍的に深まります。

【コンサル業界マップの2つの軸】

  • 縦軸:課題のレイヤー(抽象度)
    • 上流(戦略): 「どの事業に投資すべきか?」「会社の10年後のビジョンは?」といった、企業の経営の根幹に関わる抽象度の高い課題を扱います。「What(何をすべきか)」を定義する役割です。
    • 下流(実行支援): 「新しい会計システムをどう導入するか?」「営業プロセスのどこに無駄があるか?」といった、具体的で実行可能な課題を扱います。「How(どうやるか)」を具体化する役割です。
  • 横軸:専門性の幅(カバレッジ)
    • 総合(General): 金融、製造、通信、官公庁など、特定の業界に縛られず、幅広いクライアントを対象とします。
    • 専門(Special): 人事、財務、医療、環境など、特定の業界や機能(ファンクション)に特化し、深い専門知識を提供します。

この2つの軸でマトリクスを作ると、コンサル業界は大きく4つの象限に分類することができます。


【業界マップ】4つのエリアと代表的なファーム

ここからは、先ほどの2軸で作ったマップの各エリアに、具体的なファームをプロットしながら、その特徴を詳しく見ていきましょう。

【図解:コンサル業界マップ】

                ▲ 抽象度:高(戦略・What)
                │
   【戦略ファーム】        │    【専門ファーム(戦略寄り)】
   (MBBなど)             │   (再生支援、人事戦略など)
                │
───────────────┼────────────────► 専門性:特化
   専門性:広範  ◄────────┼───────────────
                │
 【総合・ITファーム】     │    【専門ファーム(実行寄り)】
 (BIG4、アクセンチュア) │   (財務会計、システム導入など)
                │
                ▼ 抽象度:低(実行・How)

①左上エリア:戦略コンサルティングファーム

  • 位置付け: 【上流(戦略)× 総合(General)】
  • 代表的なファーム: マッキンゼー、BCG、ベイン・アンド・カンパニー(通称MBB)、A.T. カーニー、ローランド・ベルガーなど
  • 仕事内容: クライアント企業のCEOや役員クラスが抱える、最も重要で困難な経営課題を解決します。全社成長戦略、新規事業立案、M&A戦略、海外進出戦略など、企業の未来を左右する意思決定を支援します。プロジェクトは数週間から数ヶ月と比較的短期間で、少数精鋭のチームで取り組みます。
  • 求められる人材: 極めて高い論理的思考力、仮説構築力、そして知的な体力が求められます。答えのない問いに対して、ゼロベースで考え抜く力が必要です。新卒・中途ともに採用ハードルは最も高いと言えます。
  • 年収レンジ(新卒): 700万円~1,000万円以上

②左下エリア:総合・ITコンサルティングファーム

  • 位置付け: 【下流(実行)中心だが、上流もカバー × 総合(General)】
  • 代表的なファーム:
    • BIG4: デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティング
    • IT系: アクセンチュア、アビームコンサルティング、ベイカレント・コンサルティングなど
  • 仕事内容: 「戦略から実行までワンストップで支援する」のが最大の特徴です。戦略部門が策定したプランを、テクノロジー部門や業務改善の専門家が具体的なシステム導入や業務プロセスの改革に落とし込んでいきます。特に近年はDX関連のプロジェクトが非常に多く、企業の根幹を支える大規模なシステム導入などを数年単位で手がけることもあります。
  • 求められる人材: 論理的思考力に加え、大規模プロジェクトを円滑に進めるためのプロジェクトマネジメント能力や、クライアントの現場に入り込んで課題を解決するコミュニケーション能力が重要になります。採用人数が非常に多く、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。
  • 年収レンジ(新卒): 550万円~750万円

③④右エリア:専門コンサルティングファーム

  • 位置付け: 【特定の業界・機能 × 戦略~実行まで様々】
  • 代表的なファーム:
    • 人事・組織系: マーサー、リンクアンドモチベーション、コーン・フェリー
    • 財務・M&A系(FAS): BIG4のFAS部門、山田コンサルティンググループ
    • 事業再生系: アリックスパートナーズ、経営共創基盤(IGPI)
    • 医療・ヘルスケア系: ZSアソシエイツ、IQVIA
  • 仕事内容: 特定の分野において、大手総合ファームをもしのぐ深い専門知識と知見を提供します。例えば、人事コンサルであれば、人事制度の設計やリーダー育成プログラムの構築などを専門的に行います。狭く深い領域で、業界の第一人者としてキャリアを築くことができます。
  • 求められる人材: その領域に対する強い興味・関心と、プロフェッショナルとして専門性を突き詰めていく探究心が不可欠です。業界経験者や、会計士・弁護士などの資格保有者が中途で転職するケースも非常に多いです。
  • 年収レンジ(新卒): 500万円~800万円(ファームや専門性により大きく異なる)

この「業界地図」をあなたのキャリア選択に活かす方法

さて、ここまでコンサル業界の全体像を地図として見てきました。最後に、この地図をあなたの就職・転職活動にどう活かすか、具体的な使い方をお伝えします。

以下の3つの質問に答えることで、あなたが地図のどのエリアを目指すべきかが見えてきます。

【キャリア選択のための3つの質問】

  1. あなたは「何を」やりたいですか?(思考のタイプ)
    • A: 答えのない問いに対し、大きな方向性を考えるのが好きだ → 上流(戦略)エリア
    • B: アイデアを形にし、物事を着実に前に進めるのが好きだ → 下流(実行)エリア
  2. あなたは「どう」働きたいですか?(志向のタイプ)
    • A: 様々な業界を見て、幅広い知識を身につけたい → 総合(General)エリア
    • B: 一つのことを突き詰め、誰にも負けない専門家になりたい → 専門(Special)エリア
  3. あなたの「強み」は何ですか?(スキルのタイプ)
    • A: 考える力、地頭の良さに自信がある → 戦略ファーム
    • B: 人と協力し、物事をまとめるのが得意だ → 総合ファーム
    • C: テクノロジーやデジタルへの関心が強い → ITファーム
    • D: 特定分野(金融、会計など)の知識や経験がある → 専門ファーム

これらの答えを組み合わせることで、あなたにとって最適なファームのタイプが見えてくるはずです。例えば、「大きな方向性を考えたい(1A)」×「幅広い業界を見たい(2A)」×「地頭に自信がある(3A)」なら、戦略コンサルがベストな選択肢かもしれません。

コンサル業界は、どのエリアにもそれぞれの魅力とやりがいがあります。この地図を片手に、ぜひあなた自身のキャリアの航海図を描いてみてください。

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