【キャリアの序列】SIerとコンサル、どっちが上?仕事と年収の違いを徹底解剖

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • SIerかコンサル、どちらのキャリアに進むべきか悩んでいる就活生や若手エンジニア。
  • 現在SIerで働いており、「次のキャリアはコンサルかな…」と漠然と考えている。
  • SIerとコンサルの、具体的な仕事内容や求められるスキルの違いが知りたい。
  • 「コンサルの方が、給料も社会的地位も上」というイメージの、本当の理由が知りたい。
  • 自分の性格や価値観に、本当に合っているキャリアを見極めたい。

「SIerからの転職先は、やっぱりコンサルだよね」 IT業界のキャリアパスを語る上で、まるで”出世魚”のように語られる、「SIerからコンサルへ」という道のり。あなたも、そんな風潮に流され、「いつかはコンサルに…」と、漠然とした憧れを抱いてはいないでしょうか?

しかし、その選択は、本当にあなたのキャリアを幸せにするのでしょうか? そもそも、SIerとコンサルは、同じITというフィールドにいながら、プレイしている”競技”そのものが、全く違うのです。野球選手が、サッカー選手に転職するようなものです。

この記事では、多くの人が混同しがちなSIerとコンサルの違いを、「家づくり」という、誰にでもわかる壮大な例え話で、そのビジネスモデル、求められる役割、そして年収の「序列」が生まれる構造まで、徹底的に解剖していきます。

この記事を読み終える頃には、あなたはもう「どっちが上か」という不毛な議論に惑わされることはありません。自分は、家づくりの”どの工程”で輝けるプロフェッショナルなのか、その本質を見極め、後悔のないキャリアを選択するための、確かな判断軸を手に入れているはずです。

すべては「最高の家」を建てるために

物語の主人公は、クライアントである「山田さん一家」です。 山田さん一家は、「子供も増えて、今の家が手狭になってきた。もっと家族が幸せに暮らせる、最高の家を建てたい」と考えています。

この「最高の家を建てる」という壮大なプロジェクトを成功に導くために、山田さん一家は、それぞれ役割の違う、2人のプロフェッショナルに依頼をすることにしました。 一人は、「建築家(アーキテクト)」。 そしてもう一人は、「棟梁(マスタービルダー)」です。

この「建築家」こそがコンサルであり、「棟梁」こそがSIerなのです。


コンサルとは何か?家族の”幸せ”を設計する「建築家」である

山田さん一家が、最初に相談に向かったのは、「建築家」の事務所です。 一家は、建築家にこう言います。「3LDKで、日当たりの良い家を建ててください」と。

しかし、優秀な建築家は、すぐには「分かりました」と言いません。彼は、こう問い返します。 「なぜ、3LDKが必要なのですか?」 「あなたたち家族にとって、『幸せな暮らし』とは、具体的にどんな時間ですか?」

建築家は、何時間もかけて、山田さん一家のライフスタイル、将来の夢、そして今の家の”本当の”不満をヒアリングします。その結果、一家の本当の課題は、「部屋の数」ではなく、「家族が一緒に過ごす、リビングの狭さ」にあることを突き止めます。

そして、建築家は、その課題を解決するための「設計図(ブループリント)」を描き上げます。 「部屋数は2LDKで十分です。その代わり、南向きに大きな吹き抜けのリビングを設け、家族が自然と集まる空間を作りましょう。これが、あなたたちの『幸せ』を実現する、最高の設計です」

これが、コンサルタントの仕事です。 彼らの役割は、クライアントの曖昧な要望(What)の、さらに奥にある「なぜ、それが必要なのか?(Why)」という本質的な経営課題を突き止め、それを解決するための「戦略」や「システム全体の設計図(要件定義)」を描くことです。 彼らの成果物は、動くシステムそのものではなく、クライアントの未来を指し示す、数十〜数百ページに及ぶ「ドキュメント(設計図)」なのです。

  • 役割: 建築家
  • ミッション: 「なぜ作るか」「何を作るか」を決める
  • 成果物: 設計図、戦略レポート
  • 思考: 「そもそも、建てるべきは、本当にこの家なのか?」

SIerとは何か?設計図を”現実”にする「棟梁」である

完璧な設計図を手に入れた山田さん一家。次に向かうのは、腕利きの「棟梁」が率いる、工務店です。 棟梁は、建築家が描いた設計図を隅々まで読み込み、こう言います。 「承知いたしました。この設計図通り、最高の素材と技術で、寸分の狂いもない、頑丈で美しい家を、必ずや期日通りに建ててみせましょう」

棟梁は、設計図に対して「なぜ、リビングは吹き抜けなんですか?」などと、根本的な問いを発することは、基本的にはありません。彼の使命は、設計図に描かれたものを、寸分の狂いもなく、高品質に、そして安全に「現実の形」にすることです。 そのために、最高の木材を選び、腕利きの職人を集め、工事の進捗を管理し、雨の日も風の日も、現場の先頭に立ち続けます。

これが、SIer(システムインテグレーター)の仕事です。 彼らの役割は、コンサルタントや顧客が作った「要件定義(設計図)」に基づき、「どうやって、それを実現するか?(How)」を考え抜き、それを実際に動く「システム」として構築することです。 プログラミング、インフラ構築、テスト、プロジェクト管理。あらゆる技術力を結集(インテグレート)し、高品質(Quality)、低コスト(Cost)、短納期(Delivery)で、システムを完成させることが、彼らの至上命題なのです。

  • 役割: 棟梁
  • ミッション: 「どうやって作るか」を実行する
  • 成果物: 動くシステム、完成した家
  • 思考: 「どうすれば、この家を、完璧に建てられるか?」

なぜ「序列」が生まれるのか?年収2倍のカラクリ

「なるほど、役割が違うのは分かった。でも、なぜコンサルの方が、給料が高いというイメージがあるの?」 その答えは、家づくりの「バリューチェーン(価値の連鎖)」に隠されています。

考えてみてください。 もし、建築家が描いた「設計図」が、そもそも間違っていたらどうなるでしょう? たとえ、棟梁がどんなに素晴らしい技術で、完璧な家を建てたとしても、その家は「住みにくく、家族を不幸にする家」になってしまいます。設計図の失敗は、プロジェクト全体を根本から覆す、致命的なダメージを与えます。

一方で、棟梁の「建築」に多少のミスがあっても、後から修復したり、リフォームしたりすることが可能です。

つまり、プロジェクトの成否に与える影響力(レバレッジ)は、後工程の「How(どう作るか)」よりも、前工程の「Why/What(なぜ/何を作るか)」の方が、圧倒的に大きいのです。 コンサルタントの報酬が高いのは、この、最も上流で、最も影響力の大きい、そして最も責任の重い意思決定を担っているからです。

【SIerとITコンサルの平均年収比較(大手転職サイト調べ)】

年齢SIerエンジニアITコンサルタント
20代400万〜600万円500万〜800万円
30代600万〜900万円800万〜1,500万円
40代800万〜1,200万円1,500万円〜

この年収の差は、スキルの優劣ではなく、ビジネスにおける「役割と責任範囲」の違いから生まれているのです。


あなたは「建築家」タイプ?それとも「棟梁」タイプ?

SIerとコンサル、どちらが優れている、という話ではありません。 大切なのは、あなたがどちらの仕事に、より情熱と喜びを感じるか、です。

  • こんなあなたは「コンサル(建築家)」向きかも
    • 「どう作るか」よりも、「そもそも、なぜこれが必要か」を考えるのが好き。
    • 答えのない、曖昧な課題について、仮説を立てて議論することにワクワクする。
    • パワーポイントで、複雑な情報を図解し、人を説得するのが得意。
    • 目に見える「モノ」を作ることより、「コト」を動かすことに喜びを感じる。
  • こんなあなたは「SIer(棟梁)」向きかも
    • 自分の手で、具体的な「モノ」を作り上げ、それが動いた瞬間に、最高の喜びを感じる。
    • 曖昧な戦略論よりも、ロジカルで、緻密な設計やプログラミングが好き。
    • チームをまとめ、困難なプロジェクトを、計画通りに完遂させることに情熱を燃やせる。
    • 最新の技術を学び、それを駆使して、高品質なプロダクトを生み出したい。

「上」を目指すのではなく、「自分」に合う場所を目指す。 それが、後悔しないキャリア選択の、唯一の答えです。 あなたは、未来の家族のための、夢の「設計図」を描きたいですか? それとも、その設計図を、現実の「家」として、その手で建て上げたいですか?

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