【脳のバグ?】なぜあなたの話は伝わらない?結論から話せない人の致命的な思考癖

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 一生懸命説明しているのに、相手に「で、何が言いたいの?」と怪訝な顔をされてしまう。
  • 話が長くなってしまい、自分でも着地点を見失うことがある。
  • 「結論から話せ」とよく言われるけど、それができない理由が自分でもわからない。
  • 自分の考えや頑張りが、正しく相手に伝わっていないと感じ、悔しい思いをしている。
  • コミュニケーション能力を高めて、仕事で正当な評価を受けたい!

あなたは、渾身の企画や改善案を上司に報告する場面を想像してみてください。 「まず、この件の背景なのですが、先週A社でトラブルがありまして、それでB部長から指示があって、私が過去のデータを調べたところ…」 あなたは、経緯を丁寧に、誠実に、順を追って説明しています。しかし、ふと上司の顔を見ると、眉間にシワが寄り、明らかにイライラしている…。そして、話を遮るように、あの言葉が飛んでくるのです。

「…で、結論は?」

この一言で、あなたの頭は真っ白。準備してきた説明は全て吹き飛び、自信を失ってしまう…。こんな経験、ありませんか?

もし、あなたがこの「結論から話せない病」に悩んでいるとしたら、それは決してあなたの能力が低いからでも、性格が悪いからでもありません。それは、あなたの脳内に、いつの間にかインストールされてしまった、3つの「思考のバグ」が原因なのです。

この記事では、その「バグ」の正体を心理学的な側面から解き明かし、誰でも今日から実践できる、超簡単な「修正プログラム」を処方します。この記事を読み終える頃には、あなたは「伝わらない」という呪いから解放され、自信を持って、スマートにコミュニケーションが取れる自分に生まれ変わっているはずです。

バグ1:脳が「時系列・再生モード」で固定されている

あなたの脳は、正直で、とても真面目です。だからこそ、物事を「起きた順番」に話そうとします。これは、友達に昨日の出来事を話す時や、物語を語る時には、とても自然な方法です。

「昨日、駅前のカフェに行ったらね、偶然、高校の時の友達に会って、それで…」

この話し方は、聞き手も同じ時間軸を共有し、プロセスを楽しむ余裕がある場合には有効です。しかし、ビジネスの現場では、これが致命的なバグとなります。

なぜなら、あなたの話を聞いている上司やクライアントの脳は「結論・検索モード」で動いているからです。彼らは、あなたの話のプロセスを楽しみたいわけではありません。彼らの頭の中は、「この報告から、自分が次に取るべきアクションは何か?」「これは『YES』か『NO』か?」「問題は『ある』のか『ない』のか?」といった、結論や判断材料を、一刻も早く探し出そうとしています。

マイクロソフト社が行った調査によると、現代人の集中力は平均してたったの8秒、金魚(9秒)よりも短いと言われています。忙しい相手は、あなたの話の「前置き」を、悠長に待ってくれるほど暇ではないのです。

あなたが「時系列・再生モード」で話している限り、相手の「結論・検索モード」とは永遠に噛み合うことはありません。これが、話が伝わらない最大の構造的欠陥です。

バグ2:「反論されるのが怖い」という、無意識の防衛本能

二つ目のバグは、より根深く、あなたの心の中に潜んでいます。 それは、「結論を先に言うことで、相手から即座に反論されたり、否定されたりするのが怖い」という、無意識の恐怖心です。

あなたは、こう考えていませんか? 「いきなり『このプロジェクトは中止すべきです』なんて言ったら、『何を言ってるんだ!』と一蹴されてしまうかもしれない…」 「だから、中止すべき理由を、これでもかというくらい丁寧に、たくさん並べて、相手を説得し、逃げ道を塞いでから、最後に結論を言おう」と。

これは、結論という「急所」を守るために、理由や経緯という「鎧」を、外側から一枚一枚着込んでいくような行為です。一見、賢明な戦略に見えますが、残念ながら、これは完全に逆効果です。

なぜなら、聞き手は、あなたが何を守ろうとしているのか(結論)が分からないまま、延々と鎧を着込む作業を見せられている状態だからです。聞き手はこう感じます。

「話が長いな…何が言いたいんだ?」 「なんだか、言い訳がましく聞こえるな…」 「私を説得しようと、言いくるめようとしているのではないか?」

焦りと不信感が募った結果、あなたがようやく結論を口にした頃には、相手はもはや、あなたの話を聞く体勢ではなく、むしろ「反論する準備万端」の状態になってしまっているのです。

勇気を持って、最初に急所(結論)を見せること。信頼されるコミュニケーションは、そこから始まります。

バグ3:「すべてを話すこと=親切」という、致命的な勘違い

三つ目のバグは、「良い人」であるあなただからこそ、かかりやすい罠です。 それは、「自分が知っている情報を、全て余すところなく伝えることが、相手にとっての『親切』だ」という、致命的な勘違いです。

あなたは、相手に誤解してほしくない、判断を間違えてほしくない、という善意から、些細な情報や、自分が苦労したプロセスまで、丁寧に説明しようとします。

しかし、情報過多の現代において、ビジネスにおける「本当の親切」とは何でしょうか?

それは、「相手の貴重な時間を奪わないこと」です。 つまり、「相手が、最も短い時間で、最も重要な意思決定を下せるように、情報を整理してあげること」なのです。

例えるなら、あなたは砂金堀りです。一生懸命、川底の砂(膨大な情報)をすくい、その砂を全て上司の机の上に「どうぞ!」と差し出している。それが、これまでのあなたのやり方です。

しかし、上司が本当に欲しいのは、砂ではありません。その中から見つけ出した「光り輝く砂金(結論と、その根拠)」だけなのです。砂の中から砂金を探し出す作業は、本来、報告者であるあなたの仕事なのです。

情報の取捨選択という、最も頭を使う大変な作業を相手に丸投げする。それが「すべてを話す」ことの本質であり、実は、最も不親切な行為なのかもしれません。

修正プログラム:今日から脳に「見出し作成」機能をインストールする

さて、3つのバグの正体がわかりました。では、どうすればこのバグを修正できるのでしょうか? その方法は、驚くほど簡単です。 今日から、あなたの脳に「見出し作成機能」をインストールするだけです。

あなたが何かを話す前、特に、報告・連絡・相談をする前に、必ず、たった一つのことを自分に問いかけてください。

「もし、この話を新聞の一面記事にするとしたら、その『見出し』は何になるだろう?」

この「見出し」こそが、あなたが最初に言うべき「結論」です。

【実践トレーニング:見出し作成機能を使ってみよう】

状況バグだらけの話し方(時系列再生)見出し作成後の話し方(結論ファースト)
上司に進捗を聞かれた「月曜にA社に電話したら担当者が不在で、火曜にかけ直したら資料の修正が必要と言われまして、それで水曜に修正版を送って…」「はい。結論、A社との件は、金曜までには最終回答をもらえる見込みです」(理由や経緯は、聞かれたら答える)
会議で意見を求められた「うーん、そうですね、この案のメリットとしては〇〇があって、ただデメリットとしては△△も考えられて、でも一方で…」「私は、この案に賛成です。理由は、デメリットを上回る3つのメリットがあるからです。一つ目は…」
体調不良で休む連絡「すみません、昨日の夜からちょっと喉が痛くて、今朝熱を測ったら37度5分ありまして、念のため病院に行こうかと…」「お疲れ様です。申し訳ありません、体調不良のため、本日はお休みをいただけますでしょうか」

どうでしょうか? 話す前に、たった5秒、「見出しは何だろう?」と考えるだけで、あなたのコミュニケーションは劇的に変わります。

「結論から話す」というのは、単なるテクニックではありません。 それは、「相手の時間を尊重し、自分の考えに責任を持つ」という、ビジネスにおける信頼の土台そのものです。

今日から、この「見出し作成機能」を、あなたの思考の標準装備にしてみてください。 最初は少し怖いかもしれません。しかし、その小さな勇気が、あなたの話を驚くほど明確にし、あなたの評価を、そしてあなたの自信を、大きく変えていくはずです。

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