SESはオワコンか?搾取構造とAIの波に沈むエンジニア、生き残るエンジニアの決定的違い

この記事は約7分で読めます。

【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 現在SES企業で働いており、将来に漠然とした不安や疑問を感じているエンジニアの方
  • これからIT業界を目指す学生や若者で、SESという働き方のリアルを知りたい方
  • 我が子がIT業界、特にSES企業に就職しようとしていて、そのキャリアを心配している親御さん
  • スキルアップや年収アップが頭打ちになり、現状を打破したいと考えている全ての方

「これからの時代、ITエンジニアは安泰だ」 「未経験からでもIT業界に入れる」

そんな甘い言葉を信じて、SES(システムエンジニアリングサービス)という業界に足を踏み入れていませんか?もしそうだとしたら、あなたは非常に危険な、搾取と停滞のループに囚われる一歩手前にいるのかもしれません。

断言しますが、SESという働き方には、エンジニアの未来を食い潰す「構造的な闇」が存在します。それは、個人の努力だけではどうにもならない、根深い問題です。 この記事では、そんなSES業界の不都合な真実と、数年後に訪れるであろう残酷な未来について、一切の綺麗事を抜きに語り尽くします。

これは、あなたを脅すためのホラーストーリーではありません。沈みゆく船からいち早く脱出するか、あるいは船を巧みに乗りこなし、荒波を乗り越えるための、極めて現実的な生存戦略の書です。目を背けず、最後まで読む覚悟がある方だけ、この先へお進みください。

あなたの給料はなぜ上がらない?SES「人売りビジネス」の不都合な真実

まず、SESというビジネスの正体を直視してください。 それは、システムを開発して納品するのではなく、エンジニアという「人間」の労働力を、時間単位で企業に貸し出して利益を得る「人売り稼業」です。あなた自身が、商品なのです。

このビジネスモデルには、構造的な欠陥があります。それが、悪名高き「多重下請け構造」です。

想像してください。 クライアント企業(元請け)が、あなたの技術力を「月100万円」で買いました。しかし、あなたは元請けの会社ではなく、A社(一次請け)に所属しています。A社は、元請けから受け取った100万円からマージン(手数料)を30万円抜き、B社(二次請け)に70万円であなたを売ります。そして、あなたが所属するC社(三次請け)は、B社から受け取った70万円からさらにマージンを30万円抜き、残りの40万円から会社の利益を確保し、ようやくあなたの給料として30万円を支払う。

どうですか? あなたの市場価値は本来「100万円」だったはずなのに、間に複数の会社が入るだけで、70万円もの大金が中抜きされ、あなたの手元には3分の1も残らない。これが、多くのSES企業で日常的に行われている「搾取」の正体です。 あなたがどれだけ現場で頑張っても、どれだけ客先から高い評価を得ても、この構造の中にいる限り、給料が劇的に上がることはありません。なぜなら、あなたの給料は、所属する会社の商流の深さ(=中抜きされる回数)によって、上限がほぼ決まってしまっているからです。

飼い殺される「案件ガチャ」と、確実に陳腐化するあなたのスキル

SESで働くことの最大のリスクは、お金の問題だけではありません。 それ以上に深刻なのが、あなたの「キャリアの主導権が、完全に他人任せになる」という点です。

次にあなたがどんなプロジェクトに行くか、どんな技術に触れるかは、すべて会社の営業担当者の都合で決まります。これを、エンジニアは自嘲を込めて「案件ガチャ」と呼びます。

運良く、モダンな技術を使える開発案件を引き当てれば、あなたのスキルは向上し、市場価値も上がるでしょう。しかし、運が悪ければどうなるか。何年もの間、Excelでのテスト作業や、システムの監視・運用保守といった、誰にでもできる単純作業に従事させられる可能性が十分にあります。

考えてもみてください。 技術の流行り廃りが激しいこのIT業界で、5年間もひたすら手動テストだけをやらされたエンジニアに、一体どんな未来があるというのでしょうか。新しい技術を貪欲に学ぶ同年代のエンジニアたちが、クラウドやAIのスキルを身につけて市場価値を上げていく中で、あなたは確実に時代に取り残され、スキルは陳腐化していきます。

これは、キャリアの「飼い殺し」に他なりません。 会社はあなたを「スキルがなくても入れる案件」に配置することで目先の利益を確保しますが、その代償として、あなたのエンジニアとしての未来が静かに殺されていくのです。

【未来予測】2030年、AIに仕事を奪われる「低スキルSESエンジニア」

「でも、IT業界は人手不足なんでしょう?仕事がなくなることはないのでは?」 そんな甘い考えを持っているなら、今すぐ捨ててください。

確かに、経済産業省の調査によれば、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。しかし、これは大きな罠です。市場が求めているのは、AIを使いこなしたり、複雑なシステム設計をしたりできる「高度IT人材」であって、誰にでもできる単純作業員ではありません。

そして今、あなたの仕事を奪う最大の脅威が、すさまじい勢いで進化しています。そう、AIです。 GitHub Copilotのようなコード生成AIは、もはやベテランエンジニア並みのコードを瞬時に書き上げます。テストの自動化ツールも、人間が手作業で行うより遥かに高速かつ正確です。

数年後、確実に訪れる未来を予言しましょう。 「仕様書通りにコードを書くだけ」「言われた通りにテストをするだけ」といった、思考停止した下流工程の仕事は、AIに代替されます。企業は、月50万円も払って人間のエンジニアに単純作業をさせるより、月数万円のAIツールを使う方が遥かに効率的だと気づくでしょう。

その時、真っ先に職を失うのは誰か? そうです。「案件ガチャ」に翻弄され、単純作業しかスキルがないと見なされた、低スキルなSESエンジニアです。あなたという「商品」は、AIという名の「より安くて高性能な新商品」の登場によって、市場から駆逐されるのです。

それでもSESで生き残るための、たった3つの生存戦略

ここまで読んで、絶望的な気持ちになったかもしれません。 しかし、まだ道が閉ざされたわけではありません。この残酷な未来を直視し、今すぐ行動を起こす者にのみ、生き残る道は拓かれます。

1. 「単価還元率」という名の搾取度をチェックし、即座に脱出しろ
まず、あなたが今すぐやるべきこと。それは、自分がいくらで会社に売られていて(顧客提示単価)、そのうち何パーセントが給料として還元されているか(単価還元率)を把握することです。 もし会社が単価を教えてくれないなら、その時点で「黒」です。まともな会社なら、エンジニアのモチベーションのためにも単価を公開しています。一般的に、還元率が60%未満の会社は、搾取が激しいと考えられます。 今すぐ、還元率70%以上を公言している「優良SES」を探し、転職活動を始めてください。搾取される会社に義理立てする必要など、一切ありません。

2. 「上流工程」へ死に物狂いで食い込め
コーディングやテストといった「下流工程」に安住していては、AIに仕事を奪われる未来が待つだけです。顧客の課題をヒアリングし、システムの全体像を決める「要件定義」や「基本設計」といった「上流工程」に、何としてでも食い込んでください。 なぜなら、顧客とのコミュニケーションや、複雑な課題解決能力が求められる上流工程は、AIには代替できない、人間にしかできない仕事だからです。当然、単価も下流工程とは比べ物になりません。 今の会社で上流工程に挑戦できるチャンスがないなら、それができる会社に移るべきです。キャリアアップを支援してくれない会社は、あなたの未来を考えていない証拠です。

3. 会社の外に「自分の価値」を構築しろ
会社の仕事だけでスキルアップできるという幻想は、今すぐ捨ててください。あなたのスキルは、あなた自身で磨くしかありません。 業務時間外に、個人でWebサービスやアプリを開発する。学んだ技術をブログやQiitaで発信する。勉強会に登壇して自分の知見を共有する。AWSやGoogle Cloudの認定資格など、市場価値の高い資格を取得する。 こうした「会社の看板に頼らない個人の実績」こそが、あなたの市場価値を証明する最強の武器になります。それは、次の転職を有利にするだけでなく、フリーランスとして独立するという選択肢さえもたらしてくれるでしょう。

まとめ:搾取されるな、主体性を持て。あなたのキャリアはあなただけのものだ

SESという業態そのものが、絶対的な悪だとは言いません。未経験から業界に入るための入り口になったり、様々な現場を経験できるというメリットも、確かにあるでしょう。

しかし、その構造的なリスクを理解せず、ただ会社にぶら下がり、キャリアを人任せにする「思考停止」こそが、あなたを不幸にする最大の原因なのです。

自分の値段を知り、搾取する会社からは即座に離れる勇気を持つこと。 案件ガチャに甘んじず、自らの手でキャリアの主導権を握りに行くこと。 会社の業務だけに依存せず、個人のスキルを主体的に磨き続けること。

あなたのキャリアの舵を取れるのは、あなたしかいません。 数年後、「あの時、行動しておけばよかった」と後悔する側の人間になるか、自らの価値を高めて市場から選ばれる側の人間になるか。その分かれ道は、今、この瞬間のあなたの決断にかかっています。

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