タイトル:【今さら聞けない】Telegram(テレグラム)とは?その仕組みを徹底解説!安全なはずが「闇バイト」で使われるワケ。

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • ニュースで「テレグラム」という言葉をよく聞くけど、何なのかよく分かっていない方
  • LINEや他のSNSと何が違うのか、基本的なところから知りたい方
  • 「セキュリティが高い」と聞くけど、その仕組みがどうなっているのか興味がある方
  • なぜ「安全」と言われる一方で、「危険」「犯罪に使われる」といった話も聞くのか、その理由を知りたい方
  • テレグラムをこれから使ってみようか検討している方

最近、ニュースや新聞で「テレグラム」という名前を耳にする機会が、急に増えたと思いませんか?特に、特殊詐欺や闇バイトといった、少し物騒なニュースとセットで語られることが多く、「なんだかよく分からないけど、危ないアプリなのかな?」と感じている方も多いのではないでしょうか。

一方で、テレグラムは世界中のジャーナリストや活動家から、「プライバシーを守るための非常に安全なツール」として絶大な信頼を得ている側面もあります。月間のアクティブユーザーは、2024年時点で9億人を超えるとも言われ、世界最大級のメッセンジャーアプリの一つです。

「安全」なのに「危険」。一体どういうことなのでしょうか?

この記事では、そんな謎多きアプリ「テレグラム」について、その基本的な仕組みから、なぜ「安全」と「危険」という二つの顔を持つに至ったのかまで、専門的な話をかみ砕いて、誰にでも分かるように徹底解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたのテレグラムに対する「もやもや」は、きっとスッキリ解消されているはずです。

そもそもTelegram(テレグラム)ってどんなアプリ?

まず、基本のキからおさらいしましょう。

テレグラムは、ロシア人のパーヴェル・ドゥーロフ氏とニコライ・ドゥーロフ氏の兄弟によって、2013年に開発されたメッセンジャーアプリです。ちょうど、LINEやWhatsApp、Facebookメッセンジャーなどと同じような、テキストや画像、動画などを送り合えるコミュニケーションツールですね。

開発者のドゥーロフ兄弟は、ロシア最大のSNS「フコンタクチェ」の創設者でもありますが、ロシア政府からの圧力や検閲に反発し、国を離れました。そして、「政府の監視や介入から自由なコミュニケーションを守る」という強い信念のもと、このテレグラムを開発したという背景があります。

そのため、テレグラムは他の多くのSNSとは一線を画す、いくつかの重要な特徴を持っています。

  • 非営利での運営: テレグラムは広告表示やユーザーデータの販売で利益を上げることを目的としていません。運営資金は、創設者であるパーヴェル・ドゥーロフ氏の私財などによって賄われているとされています。(一部、有料のプレミアム機能はあります)
  • プライバシーの重視: ユーザーのプライバシー保護を最優先事項として掲げており、これまでも各国の政府からの情報開示要求を繰り返し拒否してきた歴史があります。
  • オープンソース: アプリのソースコード(設計図)の一部は公開されており、誰でもその安全性を検証できるようになっています。

こういった背景から、「ユーザーの味方である」というイメージが強く、プライバシーを重視する層から熱烈な支持を集めているわけですね。

テレグラム最大の特徴!「高度なセキュリティ」の仕組みとは?

さて、ここからが本題です。テレグラムの心臓部とも言える「セキュリティ」の仕組みについて、少し深掘りしていきましょう。難しく聞こえるかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば大丈夫です。

テレグラムのセキュリティを理解する上で、絶対に知っておかなければいけないのが、「2種類のチャット」「2段階の暗号化」が存在するということです。ここを理解しないと、「安全なのに危険」と言われる理由が見えてきません。

① クラウドチャット(デフォルトのチャット)

あなたがテレグラムをインストールして、誰かと普通にチャットを始めた場合、それは「クラウドチャット」になります。これが標準設定です。

このクラウドチャットでは、「サーバー・クライアント間暗号化」という方式が使われています。

これは、あなたのスマホ(クライアント)から送られたメッセージが、テレグラムのサーバーに送られるまでの間、そしてサーバーから相手のスマホに届くまでの間が、それぞれ暗号化される仕組みです。第三者が通信を傍受しても、内容は解読できません。

ただし、重要なポイントは、メッセージが一度テレグラムのサーバー上で復号(暗号を解くこと)されるという点です。

なぜ一度サーバーで復号するのか?それは、「利便性」のためです。 サーバー上にメッセージの履歴が保存されるため、スマホやPC、タブレットなど、複数のデバイスからいつでも同じチャット履歴にアクセスできます。スマホを買い替えたときも、簡単にデータを引き継げる。LINEで引き継ぎに失敗した経験がある方なら、この便利さが分かるかと思います。

しかし、これは同時に、「理論上は、テレグラムの運営会社はサーバー上のメッセージを見ることができる」ということを意味します。もちろん、テレグラムは「プライバシーを守る」と公言しており、不正に閲覧することはないと主張していますが、技術的な可能性としてゼロではない、ということです。

② シークレットチャット(秘密のチャット)

ここからがテレグラムの真骨頂です。より高いセキュリティを求めるユーザーのために、「シークレットチャット」という機能が用意されています。

こちらは、自分で相手を選んで「シークレットチャットを開始」という操作をしないと使えません。

このシークレットチャットで採用されているのが、最強の暗号化方式と呼ばれる「エンドツーエンド暗号化(E2EE)」です。

これは、メッセージが送信者と受信者のデバイス(エンドツーエンド)の間で、完全に暗号化され続ける仕組みです。メッセージを解読するための「鍵」は、ユーザーのデバイスの中にしか存在しません。

つまり、メッセージが通過するテレグラムのサーバーですら、その内容は一切見ることができないのです。見られるのは、メッセージを送り合った当人たちだけ。これは、LINEの「Letter Sealing」機能と同じ仕組みだと考えれば、イメージしやすいかもしれません。

この「クラウドチャット」と「シークレットチャット」の2段構え。これがテレグラムのセキュリティの基本構造です。

なぜテレグラムは「安全・安心」だと言われるのか?

ここまでの仕組みを踏まえると、テレグラムがなぜ「安全」と言われるのか、その理由が見えてきます。

理由1:エンドツーエンド暗号化が選択できる

やはり最大の理由は、E2EEが使える「シークレットチャット」の存在です。政府や巨大企業による監視を懸念するジャーナリストや人権活動家にとって、運営会社にすら内容を覗き見られないこの機能は、まさに生命線とも言える重要なツールになります。

理由2:プライバシーを守るための機能が豊富

シークレットチャットには、さらにプライバシーを守るための機能が搭載されています。

  • 自動消滅メッセージ: 設定した時間が経過すると、メッセージが双方のデバイスから自動的に削除されます。証拠を残したくないやり取りに有効です。
  • 転送の禁止: メッセージの転送を禁止できます。
  • スクリーンショットの通知: 相手がスクリーンショットを撮ると、チャット画面に通知が表示されます(ただし、OSの仕様により機能しない場合もあります)。

これらの機能が、「秘密を守りたい」と考えるユーザーにとって、非常に魅力的に映るわけです。

【ここが重要】安全なはずなのに、なぜ「危険」と結びつくのか?

さて、最後のピースです。これほどまでに安全性を追求したアプリが、なぜ「闇バイト」や「特殊詐欺」といった犯罪の温床になってしまうのでしょうか。その理由は、テレグラムの「光」の部分が、そのまま「影」となって悪用されているからです。

理由1:匿名性の高さが悪用されるから

テレグラムは登録に電話番号が必要ですが、一度「ユーザー名(ID)」を設定してしまえば、相手に電話番号を知らせることなく、ユーザー名だけでコミュニケーションが取れてしまいます。

この「電話番号を隠せる匿名性」が、犯罪者にとって非常に都合が良いのです。身元を隠したまま、闇バイトの募集をかけたり、詐欺の指示を出したりすることが容易になります。

また、最大20万人が参加できる「グループ」や、フォロワー数無制限の「チャンネル」といった機能も、不特定多数の人間を犯罪に勧誘するためのツールとして、残念ながら非常に優秀です。

理由2:ほとんどの人は「絶対安全」ではない使い方をしているから

ここが多くの人の誤解を生んでいるポイントです。

先ほど説明した通り、テレグラムの最強のセキュリティは「シークレットチャット」でしか発揮されません。しかし、犯罪組織の指示役と実行犯のような、一対一の緊密なやり取りならまだしも、不特定多数が参加するグループやチャンネルは、すべて「クラウドチャット」です。

つまり、多くの犯罪に使われているチャットは、E2EEで保護されていないのです。

さらに言えば、一般ユーザーも、その違いを理解せずに「テレグラムは全部安全なんだ」と思い込んでいるケースが少なくありません。利便性の高い「クラウドチャット」を使いながら、E2EEで守られていると勘違いしている。この認識のズレが、思わぬリスクを招く可能性も指摘されています。

理由3:「犯罪者が使う」というイメージの定着

結局のところ、ツールそのものに善悪はありません。包丁が料理に使われることもあれば、人を傷つける道具にもなるのと同じです。

テレグラムは、その優れたプライバシー保護機能ゆえに、身元を隠したい犯罪者たちに「最適なツール」として選ばれてしまいました。そして、メディアで繰り返し報道されることで、「テレグラム=犯罪者が使う危ないアプリ」という、強烈なイメージが社会に定着してしまった、というのが実情でしょう。

まとめ:テレグラムは「諸刃の剣」。正しく理解して使おう

ここまで解説してきたように、テレグラムは非常に優れたプライバシー保護機能を持つ、強力なコミュニケーションツールです。その仕組みを正しく理解し、目的を持って使えば、あなたのプライバシーを守る心強い味方になってくれます。

しかし、その高い匿名性や秘匿性は、一歩間違えれば犯罪の温床ともなりうる「諸刃の剣」です。

重要なのは、私たちがその特性を正しく理解すること。「テレグラムは常に絶対安全」というわけでも、「テレグラムは常に危険」というわけでもありません。

特に、「クラウドチャット」と「シークレットチャット」は全くの別物であるという点を、しっかりと覚えておいてください。この違いを理解することが、テレグラムと安全に付き合っていくための第一歩と言えるでしょう。

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