
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- ECサイトにアクセスは集まっているのに、なぜか売上が一向に伸びないと悩んでいる方
- 「カゴ落ち」という言葉は知っているけど、重要性を理解しておらず、何から手をつけていいか分からない方
- 広告費ばかりが増えて、費用対効果が悪化する一方だと感じている経営者・EC担当者の方
- お客様の購入手続きのストレスを劇的に減らし、サイトのファンを増やしたいと考えている方
- すぐに効果が出て、コンバージョン率(CVR)を改善できる即効薬のような施策を探している方
あなたのECサイト、もしかしたら、わざわざお店に来て、商品をカートに入れて、レジに並んでくれたお客様の10人中7人が、支払いの直前で「やっぱりやーめた」と商品を棚に戻し、何も買わずに帰ってしまっているとしたら…?
「そんな馬鹿な話があるか」と思いますか? しかし、これは多くのECサイトで日常的に起きている、恐ろしくもリアルな悪夢、「カゴ落ち」の現実です。
どれだけ多額の広告費をかけてお客様を集客しても、肝心の購入プロセスに「穴」が開いていては、売上はザルから水が漏れるように、音もなく消えていきます。赤字続きのEC事業の多くは、この致命的な「穴」の存在に気づいてすらいません。
しかし、ご安心ください。この、たった一つの「穴」を的確に塞ぐだけで、赤字事業をV字回復させ、売上を劇的に改善することが可能です。
この記事では、なぜお客様が買わずに去ってしまうのか、その本当の原因を世界的なデータで解き明かし、最も即効性が高く、絶大な効果を発揮する「ある対策」の具体的な手法を、誰にでも分かるように、ステップバイステップで徹底解説していきます。
あなたのサイトは大丈夫?平均カゴ落ち率「68%」という衝撃の事実
まず、この「カゴ落ち」が、いかにEC事業者にとって深刻な問題であるか、客観的なデータで直視してみましょう。
国内外の様々な調査機関がカゴ落ち率を算出していますが、Eコマースの調査会社である英SaleCycle社の2023年のデータによると、日本のECサイトにおける平均カゴ落ち率は68.2%にものぼります。
これは、商品をカートに追加したお客様のうち、約7割が購入を完了せずにサイトから離脱していることを意味します。100人のお客様がカートに商品を入れても、最終的に購入してくれるのは、たったの32人しかいないのです。
この状況は、よく「穴の開いたバケツ」に例えられます。 事業者は、広告費という名の労力をかけて、一生懸命バケツに水を汲んできます(集客)。しかし、バケツの底に大きな穴(カゴ落ち)が開いているため、汲んでも汲んでも水は漏れ出ていき、いつまでたってもバケツは満杯になりません(売上が増えない)。
多くの事業者が、さらに多くの水を汲むこと(新規顧客の獲得)ばかりに目を向けがちですが、賢い事業者がまずやるべきことは、バケツの穴を塞ぐこと、つまり「カゴ落ち対策」なのです。今いるお客様を逃さないことこそが、最も低コストで、最も効果的な売上アップ施策と言えるでしょう。
なぜお客様は買わずに帰るのか?カゴ落ち「3大原因」を徹底解剖
では、なぜお客様は、買う気満々で商品をカートに入れたにもかかわらず、最終段階で離脱してしまうのでしょうか。
EコマースのUXリサーチ機関であるBaymard Instituteが、世界中のユーザーを対象に調査した「カゴ落ち理由ランキング」を見ると、その答えが明確になります。
【カゴ落ちの主な理由 TOP3】
- 予期せぬコストが高すぎた(送料、手数料など):48%
- アカウントの作成を強制された:24%
- 長すぎる、または複雑な決済プロセスだった:22%
(複数回答可のため、合計は100%になりません)
この3つの原因に共通しているのは、お客様の「期待」を裏切り、「面倒くさい」「不親切だ」と感じさせてしまっている点です。
「この商品、いいな!」と思ってカートに入れ、購入意欲が最高潮に達しているお客様のテンションを、いかに下げずに、スムーズにゴールまで導いてあげられるか。カゴ落ち対策とは、いわば、この「お客様の購買意欲の熱量を、いかに冷まさないか」という、おもてなしの技術なのです。
赤字ECを救った「たった一つの改善」の正体…それはEFO(入力フォーム最適化)
送料や決済方法の改善ももちろん重要ですが、もし、今すぐ取り組めて、最も劇的な効果を期待できる「たった一つ」の改善策を挙げるとすれば、それは間違いなくEFO(エントリーフォーム最適化)です。
なぜなら、先ほどのカゴ落ち3大原因のうち、2位の「アカウント作成の強制」と3位の「長すぎる・複雑な決済プロセス」という、2つの大きな問題を一気に解決できる可能性を秘めているのが、このEFOだからです。
EFOとは、”Entry Form Optimization”の略。日本語に訳すと「入力フォーム最適化」です。 具体的には、お客様が購入手続きの際に氏名・住所・電話番号・クレジットカード情報などを入力する、あの「入力フォーム」を、できるだけ簡単・快適に、ストレスなく入力できるように改善することを指します。
「たかが入力フォームで、そんなに売上が変わるの?」と思うかもしれません。しかし、入力フォームは、お客様が購入を決意してから、実際に「購入完了」ボタンを押すまでの、最後の、そして最も重要な関門です。ここで少しでも「面倒だ」「分かりにくい」と感じさせてしまえば、お客様は容赦なく離脱していきます。
実際に、EFOツールを提供する企業のデータでは、EFOを適切に実施することで、コンバージョン率が平均で1.2倍から1.5倍に改善したという事例が数多く報告されています。月商500万円のサイトなら、600万〜750万円に跳ね上がる計算です。このインパクトの大きさ、お分かりいただけますでしょうか。
【コピペで使える】明日からできる!コンバージョン率爆上げEFOテクニック7選
EFOは、専門的な知識がなくても、今日からすぐに実践できることがたくさんあります。ここでは、特に効果の高い7つのテクニックをご紹介します。自社の入力フォームと見比べながら、チェックしてみてください。
1. 入力項目は、1つでも多く減らす
基本にして、最強のテクニックです。入力項目が多ければ多いほど、お客様のやる気は削がれていきます。「任意」と書かれた項目は、本当に必要でなければ、思い切って削除しましょう。「性別」「どこで当サイトを知りましたか?」といったマーケティング目的のアンケートは、購入完了後のページで聞くなど、工夫次第で対応可能です。
2. 「必須項目」が一目でわかるようにする
どこが入力必須の項目なのかが分かりにくいと、お客様は混乱します。「必須」というマークを目立つ色で表示したり、「※必須」といった記号を統一して使ったりするなど、誰が見ても一目で分かるようにデザインしましょう。
3. エラーは、その場でリアルタイムに優しく教える
すべての項目を入力し終えて「次へ」ボタンを押した瞬間に、ページ上部に「入力に誤りがあります」とだけ赤字で表示される…。これほどやる気をなくさせることはありません。入力ミスがあれば、入力しているその瞬間に、該当項目のすぐそばで「郵便番号の形式が違いますよ」と具体的に、リアルタイムで表示してあげるのが、最高のおもてなしです。
4. 住所の「自動入力機能」は絶対に導入する
今や必須の機能です。郵便番号を入力すれば、都道府県と市区町村、町名までが自動で入力される仕組みを必ず導入しましょう。お客様の入力の手間を大幅に削減でき、住所の入力ミスも防げます。
5. 入力欄に「入力例」を薄く表示する
入力欄の中に、あらかじめ「例:山田 太郎」「例:sample@example.com」といったように、入力すべき内容の例を薄いグレーの文字(プレースホルダー)で表示しておきましょう。これがあるだけで、お客様は何をどう入力すればいいのかを直感的に理解できます。
6. 全角や半角は、システム側で自動変換する
電話番号やメールアドレスの半角入力、フリガナの全角カタカナ入力など、入力形式を指定するのは仕方ありません。しかし、お客様が間違った形式で入力してしまっても、エラーにするのではなく、システム側で自動的に正しい形式に変換してあげましょう。この「よしなにやってくれる感」が、顧客満足度を大きく向上させます。
7. 「ゲスト購入」の選択肢を用意する
「アカウント作成の強制」は、カゴ落ちの主要な原因です。「会員登録しないと買えないの?面倒だからやめよう」という離脱を防ぐため、会員登録をしなくても購入できる「ゲスト購入」の選択肢は必ず用意しましょう。会員登録の案内は、購入完了後に行うのが鉄則です。
EFOだけじゃない!見落としがちな重要カゴ落ち対策3選
EFOと並行して取り組むことで、さらに効果を高められる、見落としがちな3つの重要対策もご紹介します。
1. その送料、本当に適切?「送料の壁」を乗り越える
カゴ落ち理由の第1位は「予期せぬコスト」。その代表格が「送料」です。可能であれば「全品送料無料」にするのが最も効果的ですが、難しい場合は、「あと〇〇円のお買い上げで送料無料!」といった表示(送料無料までの閾値表示)を行い、アップセル(ついで買い)を促すのが有効です。送料がいくらなのかを、決済プロセスの最初の方で明確に提示することも、お客様の信頼に繋がります。
2. 決済方法、足りていますか?「決済の選択肢」を増やす
クレジットカードを持っていない、あるいは使いたくないお客様も大勢います。特に若年層をターゲットにする場合、PayPayや楽天ペイといったスマホ決済、Amazon PayのようなID決済、後払い決済(NP後払いなど)といった、多様な決済手段を用意しておくことが、機会損失を防ぐ上で非常に重要です。
3. 最後の砦!「カゴ落ちメール」で優しく呼び戻す
カートに商品を入れたままサイトを離れてしまったお客様に対し、数時間後〜24時間後以内に「お買い物かごにお忘れ物はございませんか?」というリマインドメールを送る手法です。これが、驚くほど効果的。ある調査では、カゴ落ちメールの開封率は40%以上、そこからの購入転換率も5〜10%にのぼるというデータもあります。お客様の記憶が新しいうちに、そっと背中を押してあげることで、失いかけた売上を取り戻すことができるのです。
まとめ:売上アップの最大のヒントは、「買わなかったお客様」が教えてくれる
ECサイトの売上を伸ばすというと、多くの人は新しい広告を出したり、新しい商品を開発したりすることばかりを考えがちです。しかし、本当に目を向けるべきは、もっと足元にあります。
それは、「なぜ、買いかけてくれたお客様は、購入をやめてしまったのか?」という、シンプルな問いです。
カゴ落ちしてしまったお客様の行動履歴には、あなたのサイトが抱える問題点と、売上アップのための最大のヒントが詰まっています。
カゴ落ち対策、特に今回詳しく解説したEFO(入力フォーム最適化)は、単なる小手先のテクニックではありません。それは、購入を決意してくれたお客様に対する、最大限の「感謝」と「おもてなし」の心を形にする行為そのものです。
お客様のストレスを極限まで取り除き、「このサイトは、買い物がしやすくて気持ちいいな」と感じてもらうこと。その地道な改善の積み重ねが、コンバージョン率を改善し、赤字の事業を救い、そして何より、あなたのECサイトの熱心なファンを育てていくのです。
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