
【この記事はこんな方に向けて書いています】
✅ 社内のIT戦略をどう描けばいいか、壁打ち相手がほしい経営者の方
✅ IT部門の役割を、コストを使う「守り」から、利益を生む「攻め」に変えたいと考えている方
✅ ITコンサルに興味はあるが、「何を頼めばいいかわからない」「うまく活用できるか不安」と感じている担当者の方
✅ 外部の専門家と、どのようにすれば良好な関係を築けるのか、具体的なヒントがほしい方
✅ 自社のIT人材の育成や、組織力の向上に課題を感じている方
「外部の専門家を、いかにして事業成長のエンジンに変えるか?」
これは、変化の激しい現代において、多くの企業が直面する重要な経営課題です。特に、IT人材の確保や育成にリソースを割くのが難しい中小企業にとって、ITコンサルタントのような外部の知見をいかに活用するかは、企業の将来を左右すると言っても過言ではありません。
しかし、「コンサルを導入したが、高価なレポートが出てきただけで終わってしまった」「現場の実情を理解してもらえず、関係がうまくいかなかった」といった失敗談を耳にすることも少なくありません。成功する企業と失敗する企業、その差は一体どこにあるのでしょうか?
今回は、3年前までITを「コストセンター」と捉え、数々の課題を抱えていた中堅メーカーD社で、IT部門の変革をリードしてきたCIO(最高情報責任者)のD氏に独占インタビュー。外部のITコンサルを「業者」ではなく「真のパートナー」として迎え入れ、いかにしてIT部門を会社の成長を牽引する戦略的部門へと変貌させたのか、その成功の秘訣と理想的なパートナーシップの築き方について、詳しく語っていただきました。
IT部門が「コストセンター」と見られていた時代
――本日はよろしくお願いいたします。まず、D社がITコンサルを導入する以前は、どのような課題を抱えていたのでしょうか?
D氏:よろしくお願いします。一言で言うと、当時のIT部門は完全に「守りの組織」でしたね。私のCIO就任前ですが、主な仕事は社内からの問い合わせ対応や、サーバーが止まった、PCが動かないといったトラブル対応。いわゆる「社内ヘルプデスク」と「インフラの番人」という役割です。
もちろんそれも重要な仕事ですが、常に後追いの対応に追われていました。経営陣からは「ITは金食い虫だ」と見られ、IT予算は常にコスト削減の対象。まさに典型的な「コストセンター」でした。
IT戦略なんて立派なものは存在せず、各事業部がバラバラにツールを導入しては、連携が取れずに非効率なデータ連携を手作業で行う、なんてことも日常茶飯事でした。現場からは「もっとITで業務を楽にしてほしい」という声が上がる一方で、IT部門は日々の運用で手一杯。経営と現場の板挟みになりながら、何も変えられないもどかしさを抱えている、そんな状態でしたね。
これは弊社だけの話ではなく、多くの中小企業が同様の課題を抱えているのではないでしょうか。ある調査では、中小企業の約6割が「IT戦略を策定できていない」または「IT戦略の重要性を感じていない」と回答しています。 私たちも、まさにその6割のうちの一社だったわけです。
自社の弱みを認め、外部の力を借りる決断
――その状況から、なぜ外部のITコンサルを活用しようと決断されたのですか?
D氏:きっかけは、社長から「全社的なデータ活用基盤を構築し、経営の意思決定を高度化したい」という大きなミッションを与えられたことでした。しかし、正直に言って、当時の私たちのスキルと知識だけでは、その壮大な構想を具体化する術(すべ)を知りませんでした。
データ分析の専門家もいなければ、クラウド基盤の設計経験も乏しい。自分たちで手探りで進めることも考えましたが、それでは時間がかかりすぎるし、失敗するリスクも高い。
その時、ハッキリと「自社に足りないものを認める勇気」が必要だと感じたんです。プライドが邪魔をすることもありますが、知らないことを知らないまま進めることのほうが、よっぽど会社にとって不利益ですから。
外部の力を借りることに決めたのは、単に専門知識が欲しかったからだけではありません。「第三者の客観的な視点」が欲しかった、というのも大きな理由です。社内の人間だけだと、どうしても既存のやり方や人間関係に縛られて、大胆な変革がしにくい。外部のコンサルタントに入ってもらうことで、そうした”しがらみ”を断ち切り、プロジェクトを前に進める推進力が得られると考えたのです。
自社だけで進める場合 | 外部パートナーと協業する場合 | |
専門性 | 既存の知識・スキルに限定される | 最新の技術や他社事例の知見を得られる |
客観性 | 社内の常識や力関係に左右されやすい | 中立的な立場で、本質的な課題を指摘できる |
スピード | 担当者が兼務で進めるため、遅延しがち | プロジェクト推進に集中でき、スピードが上がる |
リスク | 失敗した場合の損失が大きい | 経験に基づき、失敗のリスクを事前に回避できる |
この表のように、メリットとデメリットを比較し、私たちは外部パートナーとの協業を選択しました。これは、短期的なコストはかかっても、長期的に見れば成功への最短ルートだと確信しての決断でした。
コンサルは「業者」じゃない。「仲間」として巻き込む方法
――実際にコンサルタントを迎えて、どのようにして「理想的なパートナーシップ」を築いていったのでしょうか?ここが一番知りたい読者も多いと思います。
D氏:一番重要なのは、ITコンサルタントを「便利な業者」や「先生」として扱わないことです。私たちは、彼らをプロジェクトを共に成功させる「仲間」として迎え入れました。そのために、意識して実践したことが3つあります。
1. 恥をかきすて、徹底的に情報を開示する 「こんな初歩的なことも管理できていないのか、と呆れられるかもしれない」そんな見栄は捨てました。成功している部分だけでなく、失敗しているプロジェクト、人間関係がうまくいっていない部署、形骸化しているルールなど、自社の「不都合な真実」もすべてオープンにしました。医師に病状を正確に伝えないと正しい診断ができないのと同じです。正確な情報共有こそが、的確な解決策の第一歩だと考えました。
2. 「丸投げ」ではなく、「共通のゴール」を設定する コンサルタントに「あとはよろしく」と丸投げするのは、一番やってはいけないことです。私たちは、プロジェクトの初期段階で、コンサルタントと私たちのメンバーが合同でワークショップを開き、「このプロジェクトは何のためにやるのか」「成功の定義は何か」を徹底的に議論しました。そして、「データ活用によって、営業利益率を3年で5%改善する」といった、具体的なビジネス指標(KPI)を共通のゴールとして設定したのです。これにより、彼らも単なるITの専門家ではなく、私たちのビジネスの成功にコミットする当事者になってくれました。
3. 相手の専門性を尊重し、同時に自社の文化を伝える 私たちは彼らを専門家として最大限尊重しましたが、決して言いなりにはなりませんでした。彼らの提案に対しては、「なぜそう考えるのか?」を深く問い、理解できるまで議論しました。同時に、「私たちの会社は、こういう価値観を大切にしている」「このやり方は、うちの社風には合わないかもしれない」といった、D社ならではの文化や歴史もしっかりと伝えました。この「相互理解」のキャッチボールを繰り返すことで、先進的なベストプラクティスと、D社の実情に合った、地に足のついた解決策を生み出すことができたのです。
この3つを徹底したことで、彼らは単なる外部の支援者ではなく、まるで昔からいる社員のように、私たちのチームに溶け込んでくれました。
IT投資が「未来への投資」に変わった瞬間
――素晴らしい関係性ですね。そのパートナーシップの結果、D社はどのように変わったのでしょうか?
D氏:結果は、私たちの想像をはるかに超えるものでした。
まず、当初のミッションだったデータ活用基盤は、計画より2ヶ月も早く稼働を開始しました。現在では、経営陣はリアルタイムで更新される経営ダッシュボードを見て意思決定を行っています。これにより、経営判断のスピードは従来の3倍以上になりました。
それだけではありません。
- コスト削減: 基幹システムをクラウドへ移行したことで、年間のインフラ運用コストを約30%削減できました。
- 業務効率化: RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、経理部門の月次報告書作成業務を自動化。月間約80時間の作業時間を削減し、担当者はより付加価値の高い分析業務に時間を使えるようになりました。
- 社員の意識改革: 最も大きな成果は、IT部門のメンバーが自信を取り戻し、自ら業務改善提案を行うようになったことです。彼らの目が輝き始め、今では事業部側から「次のプロジェクトも、ぜひIT部門のAさんと一緒にやりたい」と指名が入るほどです。
ITへの支出は、もはや「コスト」ではなくなりました。会社の未来を作るための「投資」であると、経営陣も社員も、誰もが認識するようになったのです。この文化的な変革こそが、パートナーシップがもたらした最大の成果だと思っています。
最後に、同じ悩みを抱える経営者・担当者の方へ
――最後に、D氏さんから、かつてのD社と同じような悩みを抱える企業の方々へメッセージをお願いします。
D氏:もし今、あなたが会社のITについて、一人で、あるいは社内だけで悩みを抱えているのなら、ぜひ一度、外部の視点を取り入れることを検討してみてください。
それは、自社の力不足を認めることではなく、むしろ会社の成長スピードを加速させるための、賢明な経営判断です。信頼できるパートナーは、自社だけでは見えない景色を見せてくれますし、進むべき道を照らす灯台のような存在になってくれます。
もちろん、良いパートナーを見つけることは簡単ではありません。しかし、最初の一歩を踏み出さなければ、何も始まりません。まずは「自社の現状を知りたい」「客観的なアドバイスがほしい」といった、小さな相談からでいいと思います。その小さな一歩が、3年後のあなたの会社を、全く違うステージへと導いているかもしれませんよ。
あなたの会社の「最高のパートナー」を見つけませんか?
D氏のインタビュー、いかがでしたでしょうか。 D社が経験した変革は、決して特別な成功事例ではありません。自社の課題と真摯に向き合い、信頼できる外部パートナーと手を取り合うことで、どの企業にも起こりうる未来です。
「うちの会社も、何から始めればいいだろうか?」 「まずは、誰に相談すればいいのだろう?」
もし、あなたがそう感じていらっしゃるなら、まずは私たちにお話をお聞かせください。私たちは、一方的に解決策を押し付けるのではなく、D社の事例のように、お客様と深く対話し、共に考え、最適な答えを見つけ出すことを最も大切にしています。
ご相談はもちろん無料です。あなたの会社にとっての「最高のパートナー」となるべく、まずはお互いを理解することから始めさせていただければ幸いです。
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