【コンサル式】「やりがい」が見つからない人がやるべき3つの分析

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 毎日仕事はこなしているが、心が満たされない、虚しさを感じている方
  • 「自分の本当にやりたいことは何だろう?」と、キャリアの迷子になっている方
  • 仕事を楽しんでいる友人や同僚を見て、羨ましさや焦りを感じている方
  • 感情的に悩むのではなく、論理的なアプローチで「やりがい」の正体を見つけたい方

「今の仕事に、やりがいを感じられない…」 もし、あなたが今、このような言葉にできない悩みを抱えているとしたら、それは決してあなた一人が特別なわけではありません。ある調査機関のレポートによると、働く人の約半数が、現在の仕事に「やりがいをあまり感じていない、または全く感じていない」と回答しています。

多くの人は、「やりがい」を、どこかに存在する「運命の仕事」や「天職」のような、探し求めるべき対象だと考えています。しかし、コンサルタントの視点から言えば、そのアプローチこそが、あなたを「やりがい迷子」にしている最大の原因です。

例えるなら、あなたは「最高の料理」を探して、様々なレストラン(会社)をさまよっている旅人のようなものです。しかし、本当の美食家は、完成された料理を探し求めるだけではありません。彼らは、「旨味」「甘味」「塩味」といった味の基本要素を理解し、手元にある食材(あなた自身の経験やスキル)をどう組み合わせれば最高の味になるかを知っています。

この記事では、あなたを終わりのない探求の旅から解放します。コンサルタントが複雑な問題を解決するのと同じように、「やりがい」という漠然とした感情を「3つの構成要素」に分解し、あなた自身が最高の料理人(キャリアの設計者)になるための、具体的で論理的な自己分析のフレームワークを伝授します。

この記事を読み終える頃には、あなたは「やりがい」を探し求めるのをやめ、自らの手で「創り出す」ための、確かな第一歩を踏み出しているはずです。

「やりがい」の正体とは?感情を3つの要素に分解する

「やりがい」とは、一体何でしょうか。 この正体不明の感情を、私たちはまず、客観的に分析可能な3つの要素へと分解します。それが、「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(求められること)」という3つの円です。

「やりがい」とは、この3つの円が、奇跡的に、そして美しく重なり合った中心部分に生まれる、極めて質の高い充実感なのです。

  • Will (やりたいこと): あなたが心から「面白い」「好きだ」と感じること。内側から湧き上がる好奇心や探究心。
  • Can (できること): あなたが「得意だ」「人よりうまくできる」と感じること。成長実感や自己効力感。
  • Must (求められること): 社会や会社、他者から「ありがとう」「君が必要だ」と感謝・期待されること。貢献実感や自己重要感。

多くの人は、このうちの「Will(やりたいこと)」だけを追い求めてしまいます。しかし、いくら好きなことでも、それが誰からも求められていなければ(Mustがない)、単なる趣味で終わってしまいます。逆に、いくら得意で(Can)、人から求められても(Must)、全く興味が持てなければ(Willがない)、それは苦痛な「作業」でしかありません。

「やりがい」を見つける旅とは、この3つの円の輪郭をそれぞれ正確に把握し、その重なりを最大化していく、極めて知的な自己分析のプロセスなのです。

あなたの「やりがい」を可視化する3つの自己分析

それでは、あなた自身の「Will」「Can」「Must」を明らかにするための、具体的な分析手法を見ていきましょう。静かな環境で、少し時間をとって、以下の問いに正直に答えてみてください。

分析1:「Will(やりたいこと)」の分析 – あなたの情熱の源泉を探る

ここでは、他人の評価や「やるべき」という義務感を一旦忘れ、あなたの純粋な好奇心に焦点を当てます。子供の頃のように、心がワクワクする瞬間を思い出してください。

【自分に投げかけるべき問い】

  • 書店に行ったら、無意識にどのジャンルの棚に向かいますか?
  • 時間を忘れて没頭してしまう作業や活動は何ですか?
  • もし、お金の心配が一切なければ、どんな社会課題を解決したいですか?
  • これまでの仕事の中で、「これは本当に面白い!」と心から思えたプロジェクトやタスクは何でしたか?その面白さの源泉は何でしたか?

【分析のポイント】 ここでは、具体的な職種名が出てこなくても全く問題ありません。「人と深く対話すること」「複雑な情報を整理し、構造化すること」「誰もやったことのない方法を試すこと」といった、動詞やキーワードレベルで、あなたの興味の方向性を掴むことが目的です。

分析2:「Can(できること)」の分析 – あなたの隠れた才能を掘り起こす

ここでは、あなたの「得意」を客観的に棚卸しします。「自分には何の取り柄もない」と感じる人ほど、この分析は重要です。得意なことほど、本人にとっては「当たり前」で、才能だと認識できていないことが多いからです。

【自分に投げかけるべき問い】

  • 他人から「〇〇さん、こういうの得意だよね」と褒められたり、頼られたりすることは何ですか?(小さなことでも構いません)
  • あまり苦労せずに、人並み以上の成果を出せることは何ですか?
  • これまでのキャリアで、最も大きな成功体験は何ですか?その成功の要因は、あなたのどんな能力によるものでしたか?
  • あなたが作成した資料や成果物で、「これは我ながら良い出来だ」と誇らしく思えるものはありますか?

【分析のポイント】 「コミュニケーション能力」といった曖昧な言葉で終わらせず、「初対面の人とでも、すぐに打ち解けた雰囲気を作れる」「複雑な利害関係者の間に入り、合意形成を導ける」といったように、具体的な行動レベルまで分解して書き出すことが、精度の高い分析に繋がります。

分析3:「Must(求められること)」の分析 – あなたが貢献できる価値を知る

ここでは、あなたが社会や組織の中で、どのような役割を期待され、どんな貢献によって喜びを感じるのかを探ります。人の幸福度は、「誰かの役に立っている」という感覚に大きく左右されることが、多くの心理学研究で示されています。

【自分に投げかけるべき問い】

  • あなたの仕事は、最終的に「誰」を、どのように幸せにしていますか?
  • これまでの仕事で、顧客や上司、同僚から、最も心に残る「ありがとう」を言われたのは、どんな時でしたか?
  • あなたが所属する組織やチームが、社会に対して提供している価値の中で、最も共感できるものは何ですか?
  • もし、あなたが今の職場からいなくなったら、誰が、どんなことで最も困るでしょうか?

【分析のポイント】 「給料をもらうため」という答えも一つですが、ここでは一歩踏み込んで、あなたの仕事がもたらす「影響」「貢献」に目を向けてみてください。たとえ間接的であっても、あなたの仕事は必ず誰かの価値に繋がっているはずです。その繋がりを意識することが、やりがいの重要な要素となります。

3つの円を重ね、あなたの「やりがい」の核を見つける

3つの分析が終わったら、それぞれの問いの答えを紙に書き出し、じっくりと眺めてみてください。そして、3つの円に共通して登場するキーワードや、互いに関連し合う要素がないかを探してみましょう。

  • 例1:
    • Will:「難しい問題を、分かりやすく人に教えるのが好き」
    • Can:「複雑な情報を、図やグラフを使って整理するのが得意」
    • Must:「後輩の成長をサポートした時に、『ありがとう』と言われると嬉しい」
    • 重なり合う核: 知識や情報を体系化し、人の成長を支援すること。ここから、「社内研修の企画」「マニュアル作成の専門家」「コンサルタント」といったキャリアの方向性が見えてきます。
  • 例2:
    • Will:「環境問題やサステナビリティに関心がある」
    • Can:「データ分析を通じて、課題の原因を特定するのが得意」
    • Must:「自社のコスト削減に貢献し、経営層から評価された」
    • 重なり合う核: データ分析の力で、社会的な課題(特に環境負荷の低減)に貢献すること。ここから、「エネルギー業界のアナリスト」「ESG関連のコンサルタント」「自社のサステナビリティ推進担当」といった道筋が考えられます。

重要なのは、最初から完璧な円の重なりを見つけようとしないことです。まずは、WillとCan、CanとMustといった、2つの円の重なりからで構いません。そこが、あなたが次に目指すべき、キャリアの足がかりとなるのです。

最後に:旅は、地図を広げることから始まる

「やりがいが見つからない」という悩みは、暗闇の中で目的地を探すような、辛く、孤独な旅です。しかし、今日あなたが手にしたのは、その暗闇を照らし、あなただけの道を描き出すための、一枚の「地図」です。

「やりがい」は、ある日突然、空から降ってくるものではありません。 あなたの中にある「Will」「Can」「Must」という星々を、一つ一つ丁寧に見つけ出し、その星々を繋ぎ合わせて、あなただけの星座(キャリア)を描き出す、創造的なプロセスなのです。

この分析は、一度やったら終わりではありません。経験を積むことで、あなたの3つの円は形を変え、大きくなっていきます。定期的にこの地図を広げ、自分自身の現在地を確認し、次の一歩を考える。 その主体的な営みの中にこそ、「やりがい」の本質が隠されています。 さあ、あなたの素晴らしい旅を、今日この瞬間から始めましょう。


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