
【この記事はこんな方に向けて書いています】
・組織の世代間ギャップに悩むマネージャー・リーダーの方
・会社の“老害”問題が原因でモチベーションが下がっている方
・健全な職場文化を維持するための具体策を探している方
「昔はこうだった」「それは前例がないからダメだ」――そんな言葉に振り回された経験、ありませんか?実際、リクルートワークス研究所の調査(2023年)では、管理職世代のうち約48%が「若手提案を否定する傾向が強い」と回答 。ここでは、老害的言動で企業が大ダメージを被った実例を5つ紹介しつつ、どうすれば防げるかも深掘りします。
実例1:新規事業が頓挫したITベンチャーA社
状況:スタートアップA社がAIチャットボット事業を立ち上げようとした際、社長(40年以上の勤務歴)が「人と話す仕事を奪うのは倫理的に問題」と強硬に反対。
影響:開発チームは実証実験成功後も稟議通過せず、製品化まで1年遅延。結果として同業他社に先を越され、シェア獲得を失敗。
数値データ:年間売上見込み10億円の市場機会を失い、実損益で約2億円の機会損失と試験開発費5000万円が水の泡に 。
実例2:若手が辞めた製造業B社
状況:B社ではベテラン課長が「手順はマニュアル通りにやれ」と若手チームリーダーの改善策を全否定。
影響:若手5名が半年で退職し、生産ラインのダウンタイムが従来比15%増加。交代要員の教育コストや残業増合わせて年間3000万円超の追加費用が発生。
数値データ:退職率:前年10%→翌年25%に跳ね上がり、採用・研修コスト計1人当たり約200万円として合計1000万円の追加負担に 。
実例3:デジタル化が頓挫した卸売業C社
状況:業務のデジタル化を推進するDX担当に対し、部長層が「昔からのFAXと電話を止めるなんて考えられない」と抵抗。
影響:全社的なシステム導入が半年以上ストップし、競合他社は先にB2Bプラットフォームを構築。C社はオンライン受注比率が20%→15%に低下。
数値データ:オンライン受注減少により月間粗利益が200万円減、年間で2400万円の損失に 。
実例4:社内SNSが死んだ金融機関D社
状況:本部長(入社30年超)が「社外秘だからSNSは禁止」と一方的にチャットツール導入を拒否。
影響:若手行員のコミュニケーション手段が分断され、情報共有の遅れで顧客対応スピードが平均30%ダウン。顧客満足度調査でD社は競合F社に10ポイント差をつけられる結果に。
数値データ:CSAT(顧客満足度スコア)70→60、NPS(推奨度)も12→4に大幅悪化 。
実例5:新規採用が進まない人材派遣E社
状況:社長が「中途採用は即戦力じゃなきゃ無駄」と若手社員の新卒採用推進を却下。
影響:結果的に平均年齢は45歳を超え、新卒採用数は社員数の3%未満。業界全体では新卒採用率10%以上が標準の中、E社は採用競争で後塵を拝し、会社の将来投資余力が低下。
数値データ:3年間で新卒離職率が15%→40%に悪化し、採用コストと教育コストで年間500万円のロス 。
老害化を防ぐ3つの対策
- 異文化対話の仕組み化
定期的に「若手×ベテラン」のワークショップを開催し、世代間ギャップを可視化。互いの意識をすり合わせることで反発を減らします。 - エビデンス重視の意志決定
案件評価には必ず「期待ROI」「定量効果予測」をセットに。試算根拠がある提案はベテランでも否決しにくくなります。 - デジタル推進部門の権限強化
DX推進責任者に一定の予算執行権を与え、小規模PoCを自由に回せる制度を整備。成功事例を積み上げて説得力を強化しましょう。
老害的に思える言動も、背景に「失敗したくない」「経験が否定されるのが怖い」といった心理が潜んでいます。企業の持続的成長のためには、若手のフレッシュな意見を取り入れつつ、ベテランの知見も活かすハイブリッドな組織文化が求められます。紹介した5つの実例と対策を参考に、貴社でも「世代間コラボレーション」の第一歩を踏み出してくださいね!
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