そのワークショップ、意味ありますか?コンサルに「やった感」だけ演出されて終わる会社の末路

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • これからコンサルにワークショップを依頼しようと考えている経営者や担当者
  • 過去にコンサル主催のワークショップに参加し、「意味がなかった」と感じたことがある方
  • ワークショップを成功させ、具体的な成果に繋げたいと思っている方
  • 「コンサル」という言葉に、少し懐疑的な目を持っている方

色とりどりのポストイットにアイデアを書き出し、模造紙にペタペタ。普段は話さない他部署のメンバーとグループになり、活発に議論を交わす。最後は、優秀なコンサルタントがまとめた結論に、高揚感に包まれて拍手で終わる…。

コンサルが主催するワークショップ。なんだか知的で、新しいイノベーションが生まれるような気がしますよね。

しかし、思い出してみてください。その熱狂から1週間後、あなたの職場では一体何が変わりましたか?おそらく、答えは「何も変わっていない」。結局、あの時間は一体何だったのか…と。それは、あなたが「お遊び」の会場に、高額な参加費を払ってしまっただけだからです。

この記事では、なぜ多くのコンサル主導のワークショップが、ただの「やった感」を演出するだけで、具体的な成果に繋がらないのか。その構造的な問題を暴き出し、そうならないための処方箋を解説します。貴重な時間とお金をドブに捨てる前に、本質を見抜く目を養いましょう。

「課題の不在」と「ゴールの曖昧さ」

ワークショップが失敗する最大の原因は、その開催前、いや、企画段階にあります。それは、そもそも「何を解決するためのワークショップなのか?」という、明確な課題設定が不在なまま始まってしまうことです。

「全社でイノベーションの意識を高めましょう」 「部門間の連携を強化するためのアイデアを出し合いましょう」

聞こえはいいですが、これらはすべて、具体的で切実な「課題」ではありません。コンサルタントは、こうしたフワッとしたお題目を掲げ、参加者も「とりあえず集まれと言われたから来た」という状態で、当事者意識が欠如しています。

ゴールが曖昧だから、どんな結論が出ても「成果が出た」ことにしてしまえるのです。たくさんのアイデア(に見える付箋の山)が出たという事実だけで、参加者は満足してしまう。これこそが、コンサルが巧みに作り出す「やった感」の正体です。明確な課題がないワークショップは、ただのガス抜きであり、高尚な暇つぶしに過ぎません。

参加者が“お客様”になる、思考停止のエンタメ空間

高額な費用を払っているため、依頼主である企業側が、いつしか「お客様」気分になってしまう。これも、よくあるワナです。

優秀なコンサルタントほど、ファシリテーションのプロです。参加者を気持ちよくさせ、場を盛り上げ、あたかも参加者自身が素晴らしいアイデアを生み出したかのように演出することに長けています。しかし、その多くは、事前に用意されたフレームワークとシナリオの上を走らされているだけ。

参加者は、心地よいエンターテイメント空間の中で、脳に汗をかくことをやめてしまいます。コンサルタントの問いに答えるだけの、受け身で思考停止の状態に陥るのです。ある研究では、ブレインストーミングは必ずしも質の高いアイデアを生むとは限らず、むしろ個人で深く考えた方が良い結果に繋がることが示唆されています。ただ集まって、気持ちよく話すだけでは、本当の価値は生まれません。

「で、誰がやるの?」アクションプランなき熱狂の終焉

ワークショップの最後には、模造紙の上にたくさんの「やるべきことリスト」が並びます。「素晴らしいアイデアが出ましたね!」とコンサルタントは締めくくり、参加者は大きな達成感に包まれるでしょう。

しかし、そのリストの一つひとつに、「担当者」と「具体的な期限」、そして「明日から始める最初のステップ」は、明確に記されていますか?

ほとんどの場合、答えは「ノー」です。

ワークショップの熱狂が冷めると、誰もその模造紙を見返すことはありません。「誰かがやってくれるだろう」とお互いに責任をなすりつけ合い、結局何も実行されない。コンサルタントの契約が「ワークショップの実施」までであれば、彼らにとってはその後の実行に責任はありません。高額な費用をかけて生み出されたのは、誰にも実行されない「お題目」の山だけ。これが、最も悲惨な結末です。

コンサルタントは、あなたの会社の問題を代わりに解決してくれる魔法使いではありません。彼らはあくまで、あなたたちが走り出すための“伴走者”であり、思考を整理するための“壁打ち相手”です。走る覚悟と、具体的な課題意識がないのなら、最初から彼らを呼ぶべきではないのです。

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