【診断】あなたの会社、IT化できないのは“無能な社員”のせい?真犯人は経営者。会社を静かに殺す5つの病巣

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 「うちの社員はITリテラシーが低くて話にならない」と、本気で嘆いている経営者や管理職の方
  • IT化を何度提案しても、いつも現場の強い抵抗にあって心が折れかけている担当者の方
  • 周囲の企業がDXでどんどん成長していく中、自社だけが昭和のまま取り残されていることに強い危機感を抱いている方
  • IT化が進まない根本的な原因を知り、会社の旧態依然とした体質から本気で脱却したいと考えている方
  • 耳の痛い話でも、真実と向き合い、会社を再生させるための具体的な一歩を踏み出したいと覚悟を決めた方

「最新のツールを導入しようと提案しても、ベテラン社員から『俺はこのやり方で30年やってきたんだ!』と一喝される」「便利なクラウドサービスがあるのに、いまだに紙の書類にハンコを押すためだけに出社する文化が根強い」「結局、IT化は掛け声だけで、誰も本気でやろうとしない…」。あなたの会社では、こんな光景が日常になっていませんか。そして、その原因を「ITに疎い社員が多いからだ」「変化を嫌う現場が悪いんだ」と、社員個人のスキルのせいにして、思考停止に陥っていませんか。もし、少しでも心当たりがあるなら、大変危険な兆候です。はっきり言います。IT化が進まない本当の理由は、社員の能力不足などという、そんな単純な話ではありません。その根っこには、会社という組織全体を蝕む、もっと根深く、深刻な「病巣」が存在するのです。この記事では、その見て見ぬふりをされてきた5つの病巣に、一切の忖度なくメスを入れていきます。

病巣その1:ビジョンなき経営者。「IT化しろ」と叫ぶだけの“丸投げ地獄”

まず、最も深刻で、すべての元凶とも言える病巣からお話しします。それは、「ビジョンなき経営者」の存在です。あなたの会社のトップは、「これからはDXの時代だ!」「我が社もIT化を推進する!」と、朝礼で高らかに宣言してはいませんか。そして、その宣言だけで自分の仕事は終わりとばかりに、あとは「担当者、よろしく頼む」と現場に丸投げしていないでしょうか。これが、最悪のパターンです。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年発行している「DX白書」を見ても、DX推進の課題として常にトップに挙げられるのが「経営層のコミットメント不足」です。これは、単に予算をつけないとか、口を出さないとか、そういうレベルの話ではありません。

問題の本質は、経営者自身が「IT化によって、この会社を5年後、10年後、どんな姿にしたいのか」という、明確なビジョンを持っていないことにあります。ただコストを削減したいのか、新しいサービスを生み出したいのか、それとも社員の働きがいを高めたいのか。そのゴールが示されないまま「IT化しろ」という号令だけが響き渡る職場は、まさに「丸投げ地獄」です。羅針盤も海図も渡されずに「新大陸を目指せ」と言われているようなものです。現場の社員は、どこに向かって船を漕げばいいのかわからず、ただただ混乱し、疲弊し、やがて「どうせ社長は本気じゃない」と、改革への情熱を失っていきます。IT化できない最大の原因は現場の抵抗にあらず。それは、進むべき未来を示せない経営者の怠慢にあるのです。

病巣その2:変化を恐れる中間管理職。“現状維持”が最大のミッションという悲劇

経営者から放たれた曖昧な「IT化」というボールを、見事にキャッチして、そして握りつぶしてしまう存在。それが、「変化を恐れる中間管理職」です。彼らは、経営層と現場の間に立つ重要なポジションでありながら、時として改革を阻む最も分厚い「防波堤」と化します。なぜ彼らは変化を拒むのでしょうか。それは、彼らが無能だからではありません。むしろ、これまでの会社のシステムの中では「有能」だったからです。彼らに課せられてきた最大のミッションは、波風を立てず、トラブルなく、「現状を維持」し、部下を管理することでした。

そんな彼らにとって、IT化という「変化」は、自らの存在意義を揺るがす脅威以外の何物でもありません。新しいツールを導入すれば、部下から使い方についての質問攻めにあい、自分の仕事が増える。もし導入が失敗すれば、その責任を問われ、自分の評価が下がる。部下から不満が噴出し、これまで築いてきた円満な関係が崩れるかもしれない。こうしたリスクを考えた結果、彼らは無意識のうちに「やらない理由」「できない理由」を探し始めます。「うちの部署にはまだ早い」「今は繁忙期だから」「もっと良いツールが出るまで待とう」。そうやって、巧みに変化の波をかわし、現状維持という安全な港に留まり続けるのです。これは、彼ら個人の保身という側面もありますが、変化を許容してこなかった会社の歴史が生んだ、悲劇的な構造でもあるのです。

病巣その3:成功体験に溺れるベテラン社員。組織を蝕む“俺のやり方”という猛毒

次に、現場レベルに目を向けてみましょう。ここで改革の前に立ちはだかるのが、「過去の成功体験に溺れるベテラン社員」です。彼らの口癖は決まっています。「俺はこのやり方で、これまで何十年も会社に貢献してきたんだ」。その言葉には、プライドと自負が滲んでいます。そして、その「俺のやり方」は、確かにかつては会社の強みだったのかもしれません。しかし、時代が大きく変わった今、その職人芸や、個人の勘と経験に依存したやり方は、もはや会社の成長を妨げる「猛毒」でしかありません。

なぜなら、その業務は完全に属人化し、他の誰も代替できないブラックボックスと化しているからです。そのベテラン社員が病気で倒れたり、退職したりした瞬間に、業務は完全にストップします。また、彼らが頑なに自分のやり方に固執することで、部署全体の業務プロセスは標準化されず、生産性は頭打ちになります。新しいツールが、その「俺のやり方」よりも遥かに効率的で、ミスが少なく、誰にでもできる方法であったとしても、彼らはそれを受け入れません。なぜなら、それを受け入れることは、自らが長年かけて築き上げてきた存在価値そのものを、否定することに繋がるからです。彼らのプライdignityを尊重しつつ、いかにして新しいプロセスへと導くか。これは極めて繊細で難しい課題ですが、この壁を乗り越えなければ、会社のIT化は永遠に「部分最適」のままで終わってしまいます。

病巣その4-:コストを“費用”としか見なせない、貧困な会計思考

IT化が進まない理由を、人の問題ばかりにしてきましたが、もう一つ、非常に大きな障壁があります。それは、会社のお金に対する考え方、すなわち「貧困な会計思考」です。あなたの会社では、ITツールやシステムの導入費用を、単なる「コスト」「費用」としてしか見ていないのではないでしょうか。「月額数万円か、高いな…」「初期費用で数十万円もするのか、今はそんな余裕はない」。そうやって、目先の出費を惜しむ。この判断が、いかに会社の未来を蝕んでいるか、気づいていますか。

例えば、ある事務作業を手作業で行うために、一人の社員が毎月20時間を使っているとします。その社員の時給が2,000円なら、会社は毎月4万円の人件費をその作業に払い続けていることになります。年間では48万円です。もし、月額3万円のITツールを導入すれば、その作業が5時間で終わるようになるとしたらどうでしょう。会社は月額1万円のコスト削減と、15時間という貴重な労働時間を新たに生み出すことができるのです。目先の3万円をケチった結果、会社は年間で12万円を損し、180時間もの時間をドブに捨てているのと同じです。これは単純な例ですが、IT投資を「未来の利益を生むための投資」ではなく、「現在から差し引かれる費用」としか見なせない思考停止こそが、成長の機会を自ら放棄していることに他なりません。中小企業庁の調査でも、IT投資に積極的な企業ほど、労働生産性が高いというデータは明確に出ています。お金の使い方が、会社の未来を決めるのです。

すべての根源。“失敗を許さない”という、息苦しい企業文化

ここまで4つの病巣についてお話ししてきましたが、実は、これらすべての根底には、たった一つの、しかし最も根深い問題が横たわっています。それは、あなたの会社に蔓延する「失敗を許さない」という、息苦しい企業文化です。考えてみてください。新しいITツールを導入する、業務プロセスを根本から変える。これは、未知の領域への挑戦です。挑戦に、失敗はつきものです。最初から完璧にいくことなどあり得ません。

しかし、もしあなたの会社が、一度の失敗で担当者の評価を下げたり、厳しい言葉で責任を追及したり、あるいは「だから言ったじゃないか」と冷笑するような雰囲気の組織だったとしたら、どうでしょう。そんな環境で、誰がリスクを取ってまで、新しいことに挑戦しようと思うでしょうか。社員がIT化に消極的なのは、彼らが怠惰だからでも、変化が嫌いだからでもありません。「挑戦した結果、失敗して罰せられるくらいなら、何もせずに現状維持をしていた方がマシだ」と、合理的に判断しているだけなのです。

経営者が本気でIT化を成し遂げたいと願うのであれば、まずやるべきことは、高価なシステムを導入することでも、外部のコンサルタントを雇うことでもありません。「失敗してもいい。そこから学び、次に活かすことこそが価値だ」。このメッセージを、言葉だけでなく、評価制度や具体的な行動で示し、社員が安心して挑戦できる「心理的安全性」の高い土壌を耕すこと。これこそが、すべての病巣を治療し、会社を再生させるための、唯一の処方箋なのです。

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メタディスクリプション(120文字) あなたの会社のIT化が進まない真犯人は誰?社員のせいにするのは思考停止です。経営者のビジョンなき丸投げ、変化を恐れる管理職、失敗を許さない企業文化など、会社を蝕む5つの根深い病巣を徹底解剖。本気で会社を変えたい方必見です。

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