【できますけど…】「採用と組織作りをお願いします」と言う社長、そもそも“全部”あなたの仕事ですよ?

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【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • 「良い人が採用できない」「社員がすぐに辞めてしまう」と、本気で悩んでいる経営者の方
  • 採用や組織作りを、人事担当者や外部のコンサルタントに丸投げしてしまっている方
  • 会社のカルチャーやビジョンという、目に見えないものの本当の重要性を理解したい方
  • 本気で「人が育ち、定着する会社」を自分の手で作りたいと願う、全てのリーダー

「優秀な人材が採用できなくて…」「社員が定着せず、組織がぐちゃぐちゃで、もうお手上げなんです」「先生、ウチの採用と組織作り、まるっと面倒見てくれませんか!」。そんな風に、切実な表情でご相談をいただくことがあります。もちろん、私は組織作りのプロですから、こうお答えします。「ええ、できますけども…」と。

しかし、その言葉の後には、あなたにとっては非常に耳が痛い、そして極めて重要な“続き”があります。もしあなたが、私にお金を払いさえすれば、魔法のように優秀な人材が集まり、社員が目を輝かせて働く理想の組織が出来上がると、本気で思っているのなら。今すぐ、その甘すぎる幻想は捨ててください。今回は、採用と組織作りという会社の心臓部を他人に委ねようとする、その姿勢そのものが、いかに危険で無意味か。そして、私が本当にあなたに求めている役割について、お話しします。

まず、あなたは「どんな会社」を作りたいのですか?

「良い人が欲しいんです」。結構です。では、あなたの会社にとっての「良い人」とは、具体的にどんな人物ですか。どんな価値観を持ち、何を大切にしていて、どんな未来を共に創りたいのですか。この、あまりに根源的で、シンプルな問いに、あなたは即答できますか。

もし、よどみなく答えられないのなら、どんなに高額な採用ツールを導入しても、どんなに腕利きのコンサルを雇っても、絶対に採用はうまくいきません。なぜなら、採用の「基準」そのものが、あなたの会社に存在しないからです。基準がないのに、どうやって人を選ぶというのですか。私が最初に手伝うのは、採用手法の改善ではありません。あなたの頭の中にある、その曖昧な理想を言語化する、地道な作業からです。

採用とは「口説き」であり、組織作りとは「宗教」である

採用の本質とは、求人広告を出すことでも、面接をすることでもありません。本質は、社長であるあなたが、惚れた相手を口説き落とす「求愛活動」です。今の時代、優秀な人材は引く手あまた。複数の会社から内定をもらうのが当たり前です。そんな彼らに対して、「どうかウチの会社に来てください」とお願いするのではない。「うちの会社はこんなに魅力的で、こんなに面白い未来を描いている。だから、君の力が欲しいんだ。一緒にやらないか?」と、社長自らが、その情熱で口説き落とすのです。この最も重要なプロセスを、外部の私に丸投げするなど、あり得ません。

そして、組織作りとは、ある種の「宗教活動」です。社長が「教祖」となり、会社のビジョンや価値観という名の「教義」を、飽きることなく、手を変え品を変え、繰り返し説き続ける。その教義に共感した者が「信者(社員)」となり、強固な組織が生まれるのです。この教祖の役割もまた、あなた以外には誰も担えないのです。

私の仕事は「仕組み」を作ること。魂を入れるのは「あなた」

では、私のような外部の専門家は何をするのか。私たちの仕事は、社長であるあなたの頭の中にある「魂」を、具体的な「仕組み」に落とし込むことです。

あなたの語るビジョンや価値観を元に、それを体現するような「評価制度」や「研修プログラム」を設計する。あなたの求める人物像を明確にし、それを見極めるための「採用フロー」や「面接手法」を構築する。私たちは、あなたの魂を入れるための、最適な「器」を作る職人です。しかし、その器に、熱い魂を吹き込み、日々運用し、血を通わせていくのは、他の誰でもない、あなた自身の仕事なのです。

結論:社長の仕事は「採用」と「育成」、この二つだけ

多くの偉大な経営者が口を揃えて言います。「社長の仕事は、突き詰めれば『採用』と『育成』の二つしかない」と。

マーケティングは、CMOに任せられるかもしれません。開発は、CTOに任せられるかもしれません。しかし、会社の未来そのものである「人」を集め、育てるというこの根幹の仕事だけは、絶対に他人に丸投げしてはいけない。専門家を雇うのは、自分の仕事をサボるためであってはなりません。自分の最も重要な仕事を、より高いレベルで遂行するための「壁打ち相手」であり、「参謀」として使い倒すのです。

さあ、覚悟は決まりましたか、社長。

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