
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- 会社の業績は良いはずなのに、自分の給料だけが一向に上がらないと不満を感じている方
- 経営陣の報酬額と、現場社員の待遇のギャップに、強い理不尽さを感じている方
- これから就職・転職する上で、社員を大切にしない「ヤバい会社」を見極めたい方
- 日本企業にはびこる、この根深い問題を本気で考えたい全ての方
あなたの会社の役員の報酬、いくらか知っていますか? 上場企業であれば、有価証券報告書で1億円以上の役員報酬は開示義務があります。驚くような額をもらっている経営者は、あなたが思っている以上にたくさんいるんです。
その一方で、自分たちの給料は、何年も前からほとんど変わらない。会社の利益は、一体どこに消えているのか。 その利益を、自分たちの報酬として独り占めし、現場で汗水たらして働く社員には、雀の涙ほどの還元しかしない。そんな“泥棒貴族”のような経営者がいる会社が、最終的にどんな悲惨な末路を辿るのか。
今日は、その腐った構造を、一切の忖度なく、徹底的に解剖します。
「王様」と「奴隷」を生む、モチベーションの崩壊
まず、この異常な報酬格差が、社員の心に与える影響からお話ししましょう。 自分たちが必死に働いて生み出した利益が、正当に分配されることなく、一部の役員の懐にだけ吸い上げられていく。
この現実を知ったとき、社員の心には、ある感情が芽生えます。 「私たちは、城の上で贅沢な暮らしをする王様たちを食わせるために働く、“奴隷”なんだ」と。
一度、この無力感と諦めが社内に蔓延してしまえば、もうおしまいです。 「どうせ頑張ったって、俺たちの給料は上がらない」 「会社の成長なんて、どうでもいい。役員が儲かるだけだ」 社員は、言われたことだけを最低限こなす「指示待ち族」へと変貌し、組織の活力は、まるで熱湯をかけた植物のように、急速に失われていきます。
東京商工リサーチなどの調査を見ても、企業の賃上げ率は依然として低い水準にある一方で、役員報酬は高止まりしているケースが散見されます。社員への還元を忘れた会社では、モチベーションという、組織にとって最も重要なエンジンが、確実に錆びついていくんです。
優秀な人材から逃げ出す“沈みゆく船”
社員のモチベーションが崩壊した次に起きること。 それは、優秀な人材の、静かな、しかし確実な流出です。
特に、自分の市場価値を客観的に把握している、本当に優秀な社員から、その会社を見限っていきます。 なぜなら、彼らは知っているから。自分の働きが正当に評価され、報われる環境が、世の中には他にいくらでもあるということを。
今の会社が、経営陣の私利私欲のためだけに存在する、成長の未来が見えない“沈みゆく船”であると見抜いた瞬間、彼らはためらうことなく、転職という名の脱出ボートに乗り込みます。
その結果、会社に残るのは誰か。 転職するスキルも、気力もない。この会社にしがみつくしか生きる術のない、生産性の低い社員ばかり。 優秀な人間が去り、そうでない人間が澱のように溜まっていく。組織全体の力はみるみる低下し、イノベーションなど起きるはずもなく、会社は緩やかに、そして確実に衰退への道を転がり落ちていくのです。
裸の王様が招く、経営判断の“致命的エラー”
そして、最終章。経営そのものが崩壊するプロセスです。 法外な報酬を得て、現実離れした生活を送る役員たちの周りには、耳障りの良いことしか言わない「イエスマン」しかいなくなります。
「現場の士気が、著しく低下しています」 「このままでは、優秀な若手が全て流出してしまいます」
そんな、現場からの悲鳴にも似たリアルな声は、豪華な役員室の高い壁に阻まれ、彼らの耳には決して届きません。 現場の疲弊も、顧客の不満も、市場の変化も、何も見えていない「裸の王様」の誕生です。
そして、致命的な経営判断ミスを犯す。 気づけば、かつての優良企業は、時代遅れの三流企業に成り下がり、最後は競合他社にあっけなく買収されるか、歴史の闇に静かに消えていく。 これが、社員への感謝と還元を忘れた企業の、あまりにも典型的な末路です。
企業の最も重要な資産は、役員が乗り回す高級車でも、都心の一等地に構える豪華なオフィスでもありません。 それは、今この瞬間も、現場で必死に働いている、社員一人ひとりです。
役員報酬と従業員給与の健全なバランス。 これは、単なるお金の問題じゃない。それは、会社が誰のために存在するのかという、経営者の“哲学”と“倫理観”を問う、極めて重要なガバナンスの問題なんです。
あなたの会社の経営者は、未来への投資をしていますか? それとも、会社の資産を、ただ私物化しているだけですか?
その答えが、あなたがその会社に骨を埋めるべきか、一刻も早く逃げ出すべきかを、教えてくれるはずです。
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