
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- 「良い商品なのに、なぜか売れない」という悩みを、外部の力で解決しようとしている経営者の方
- マーケティングを、広告代理店やコンサルタントに「丸投げ」してしまっている方
- とにかく広告やSNSなど、具体的な「手法」の話ばかりしてしまう方
- 会社の「売れない」という現実から、目をそむけたいと心のどこかで思っている方
「ウチのマーケティング、全部お願いします」「とにかく売れるようにしてください」。その切実な思い、よく分かります。素晴らしい製品やサービスを持っていても、それが世に知られなければ、存在しないのと同じですから。ええ、ご依頼、お引き受けします。プロとして、あなたのお手伝いをしましょう。
しかし、契約書にサインする前に、一つだけご理解いただきたい、極めて重要なことがあります。それは、あなたが私にマーケティングを「丸投げ」した瞬間に、あなたの会社が成功する確率はゼロになる、ということです。なぜなら、マーケティングとは、外部の人間が代行できるような便利な作業では断じてなく、経営者であるあなた自身が、血反吐を吐きながらやるべき「本業」そのものだからです。今回は、その残酷な真実について、お話しします。
あなたは「マーケティング費用」をどう捉えていますか?
私が最初にお聞きしたいのは、コストの話です。あなたは、私に支払うマーケティング費用を、どういう性質のお金だと考えていますか。「とりあえず払っておけば、専門家が良い感じに売ってくれる」ための、都合の良い「おまかせ料金」だと思っていませんか。
もしそうだとしたら、そのお金は1円残らずドブに捨てることになります。マーケティングとは、極めて数学的で、冷徹な「投資活動」です。投下した費用に対して、どれだけのリターン(売上、利益)があったのかを、1円単位で計測し、改善し続ける、地道で終わりのない活動です。そのROI(投資対効果)を測定する意識も、基準も持たない経営者に、マーケティングを語る資格はありません。それはただの「ギャンブル」です。
なぜ、あなたの「顧客」について、私があなたより詳しくなれるのですか?
考えてみてください。あなたの会社の商品を、誰よりも愛し、その価値を信じているのは誰ですか。あなたですよね。あなたの会社のお客さまが、なぜあなたの商品を選んでくれたのか、その理由を一番知っているべきなのは誰ですか。それも、あなたですよね。
それなのに、外部から来た私に「ウチの顧客って、どんな人たちですかね?」「どうアピールすれば響きますかね?」と尋ねるのは、滑稽だと思いませんか。顧客のことを一番知らない社長が経営する会社の商品を、顧客が買いたいと思うでしょうか。マーケティングの9割は、「顧客を誰よりも深く理解すること」で決まります。その最も重要な仕事を怠っておきながら、「売り方が分からない」と嘆くのは、あまりに怠慢です。
マーケターは「便利な外注先」ではなく「厳しい壁打ち相手」
では、私のような外部の専門家は何のためにいるのか。私たちは、あなたの商品を代わりに売ってあげる「便利な営業代行」ではありません。
私たちの本当の価値は、あなたの「厳しい壁打ち相手」になることです。あなたが持ってきた「これがウチの価値だと思う」「こんなお客さまに売りたい」という仮説に対して、「本当にそうですか?」「その根拠となるデータは?」「なぜ、競合ではなく、あなたの商品を選ぶ必要があるのですか?」と、耳の痛い問いを投げ続け、あなたの思考の解像度を極限まで高めること。それが私たちの仕事です。私たちは、あなたを楽させる存在ではなく、あなたに、これまで以上に深く考えさせ、悩ませる存在なのです。
結論:私に払う金があるなら、まず顧客に会いに行け
もうお分かりですね。マーケティングの原点は、小洒落たWebサイトでも、バズるSNS投稿でもありません。ただひたすらに、「顧客」を知ることです。
もし、あなたが私に数十万円のコンサル料を払う余裕があるのなら、そのお金で、まず100人のお客さまに会いに行ってください。ランチをご馳走しながら、1時間、じっくりと話を聞いてください。なぜウチの商品を使ってくれているのか。どんな時に不便を感じるか。どんな未来を望んでいるか。その生々しい声の中にこそ、あなたの会社が売上を上げるための全てのヒントが眠っています。
現場を知らない社長が立てる戦略は、全てが机上の空論です。最高のマーケターは、社長室ではなく、顧客の隣にこそいるのですから。
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